今年のノーベル賞の発表が7日に始まる。日本からは近年、リチウムイオン電池を開発した旭化成名誉フェローの吉野彰さん(2019年化学賞)、地球温暖化予測の基礎を築いた米プリンストン大上席気象研究員の真鍋淑郎(しゅくろう)さん(21年物理学賞)らが受賞しており、今年の発表にも注目が集まる。
英科学情報会社クラリベイトは9月、論文の引用回数が非常に多く、今後ノーベル賞を受賞する可能性が高いと評価した研究者22人を「引用栄誉賞」に選んだと発表した。日本の研究者では、堂免一成(どうめんかずなり)・信州大特別特任教授(70)と、米国立眼病研究所の彦坂興秀(ひこさかおきひで)博士が選ばれた。
堂免氏は、太陽光エネルギーを活用して水を分解し、水素を作る技術に関する研究が評価された。水素は利用時に二酸化炭素(CO2)を発生させないエネルギーとして注目されており、低コストで大量に水素を製造できるシステムが開発できれば、地球温暖化対策などでの貢献が期待できるという。
東京都内で9月19日に開かれた記者会見で、堂免氏は「優れた受賞者たちの仲間に入れてもらえて光栄だ」と笑顔を見せた。
彦坂氏は、脳の「大脳基底核」と呼ばれる部分の特定の領域が、自発的な眼球運動や複雑な手の動きに関連していることなどを明らかにした。
受賞者は、クラリベイトが自社のデータベースを基に、論文の引用回数や、過去のノーベル賞から予想される注目領域などの要素を分析して選定した。23年までに引用栄誉賞に選ばれた研究者のうち75人が実際にノーベル賞を受賞しているという。【藤沢美由紀】
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