小売業向けソリューションに参入するプリファード・ネットワークス(9日、東京都千代田区、中央が西川CEO)

人工知能(AI)開発のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)は9日、小売業向けソリューション事業に参入すると発表した。AIが天気や他の商品を含めた在庫状況などを考慮して、総菜などの値引き率を算定するサービスなどを提供する。小売業の働き手が不足する中、AIやロボットを組み合わせて店頭や本部の業務を支援する。

プリファードは国内最大のユニコーン(推計企業価値が10億ドル=約1500億円=以上の未上場企業)で、トヨタ自動車やファナックなどが出資する。これまで主に製造業の現場や研究開発向けにAIソリューションを提供してきたが、小売業向けにも市場を広げる。初年度に10億円、3年後に100億円の売上高を目指す。

9日から開始した小売業向けソリューション「MiseMise(ミセミセ)」は5つのサービスで構成する。すでに東北が地盤のスーパー「ユニバース」などが一部を導入した。

総菜など消費期限が短い商品に貼る値引き札について、他の商品の在庫情報も参照しつつ、需要の食い合いが発生しないよう最適な値引き率を設定する。値引きによる売り上げの損失を約20%削減できるなどの効果がある。自律型ロボットが店内を巡回し、欠品や品薄を検知するサービスもある。

このほか、AIは活用していないが、店頭で欠品中の商品の値札を読み取ることでバックヤードのどこに在庫があるかを検知するサービスもある。商品のピッキングにかかる時間を約50%削減できるほか、品切れの防止で売り上げも4%増やせるという。

プリファードは8月、SBIホールディングスから最大100億円の出資を受けるほか、次世代半導体の開発などで資本業務提携したと発表した。西川徹最高経営責任者(CEO)は9日、「小売りはAIの力で効率化できる部分が大きい」と述べ、半導体技術も組み合わせながら事業の柱に育てる考えを示した。

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