東京大学の高井まどか教授らは、皮膚に貼って体液の糖分などを測定するセンサーを開発し、動物を使って性能を確かめた。内部が空洞の短い針にセンサーを取り付けた。痛みが少なく、連続的な測定がしやすくなる。健康管理に役立つ。
血糖値などを測定する際、血管まで到達する太い針を使うため痛みを伴う。痛みが少なく、正確に測定できる手法が求められている。
高井教授らは皮膚のすぐ下で細胞の間を満たしている「細胞間質液」に注目した。血液とよく似た成分を持つ。皮膚のすぐ下を満たしているので血管に届くほど深く針を刺す必要がなく、通常より細く短い針で済む。成分を分析すれば血液検査と近い結果を得られる可能性があり、研究が進められている。
研究チームは樹脂の一種であるポリ乳酸を使い、長さ 1ミリメートルで、先端に直径50マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの穴がある空洞の針を作製した。針の表面を金の薄膜で覆い、耐久性を高めた。センサーとして、空洞の内側に糖分のグルコースに反応する酵素を含むゲルを埋め込んだ。グルコースと酵素が反応した時に生じる電流をもとにグルコース濃度を測定する。
ラットの細胞間質液のグルコース濃度を測定すると、血液中のグルコース濃度と近い結果が得られた。今後はグルコースだけでなく複数の成分を同時にモニタリングできるよう、センサーの機能向上を目指すという。ウエアラブルデバイスなどに搭載すれば健康状態をリアルタイムで測定して体調管理への利用も期待でき、企業と共同研究をし、実用化を目指す。
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