東北大学の宮本浩一郎准教授らは植物の健康状態を光で測定するセンサーを開発した。葉の裏につけて栄養状態やストレスの度合いを測り、データを無線通信で送る。連続で1カ月以上使用でき、農林業や生態系の研究に活用できる。
京都大学の上妻馨梨助教(研究当時は東北大)との研究成果で、国際科学誌に論文が掲載された。農林業では植物の栄養状態やストレスの度合いの把握が欠かせない。
農作物の栄養状態の悪化に早めに気付ければ、肥料を与えて状態を改善し収量を確保できる。温暖化に伴う植物のストレス変化が分かれば、気候変動が生態系に与える影響を研究しやすくなる。
健康状態を調べる技術はすでにあるが、人が植物に近づいて高価な装置で測る必要があった。労力がかかる上、山の樹木などは高頻度に測りづらい。上空からドローンなどで測る手法もあるが、日光の当たり方が日によって違い、データの補正が必要になるのが課題だった。
研究チームは葉の裏に取り付けられる小型の装置を開発し、健康状態を遠隔で把握できるようにした。装置内のライトで葉に光を当てて反射光をセンサーで測り、特定の波長の光から葉に含まれる色素量を把握する。この量から植物の必須栄養素の一つである窒素量の変化を読み取れる。別の波長の光からは植物の受けるストレスの程度も分かる。
センサーは1個数千円で作製でき、測定コストを抑えやすいとみる。1時間ごとに測ると1カ月ほどでバッテリーが切れるが、頻度を下げれば長期間使えるという。
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