報道陣に公開された玄海原発の緊急時対策棟にある指揮所(29日、佐賀県玄海町)

九州電力は29日、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で重大事故が発生した際の対応拠点となる「緊急時対策棟」を報道陣に公開した。現行の施設に比べて会議室や休憩スペースなどを拡充し、収容人数は300人超と3倍に増える。国による検査を経て10月中にも運用を始める計画だ。

緊急時対策棟は耐震構造の地上2階、地下2階建てで、延べ床面積は約6080平方メートルと現行の約30倍。事故時に対策本部を設置する指揮所は国や本店と通信回線をつなぎ、最大100人が対応にあたることができる。

非常用の電源や食料、加圧用の空気ボンベも備え、外部の支援がなくても1週間以上業務を継続できるようにした。環境放射能測定室や医務室、シャワー室を併設した休憩スペースなども設けた。

報道陣に公開された玄海原発の緊急時対策棟(29日、佐賀県玄海町)

玄海原発の緊急時対策棟を巡っては、工事内容の見直しなどで完成時期を2回延期していた。2013年から運用してきた現行の「代替緊急時対策所」は対策棟の稼働後に機能を廃止し、会議室など多目的施設として活用する方針。

玄海原発の福山浩之次長は「今回の運用開始で事故時の対応能力が向上し、発電所の安全性や信頼性は高まる」としたうえで「この施設を使うときが来ないようにするのが重要で、安全最優先の運転に努めたい」と強調した。

九電では玄海原発に先立って、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)でも21年に緊急時対策棟が完成し、運用を始めている。

【関連記事】

  • ・九州電力、玄海原発の津波想定引き上げ 追加工事は不要
  • ・核ごみ処分場、候補先に広がり 玄海町が調査受け入れ
  • ・九電の川内・玄海原発、新耐震基準に適合 規制委が許可
  • ・九州電力、革新軽水炉に期待 玄海建て替えなら導入も

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。