情報通信端末の使い方が日本の10代と他国ではかなり異なる Pixabay

<他国と比較すると、日本の学生はタブレットやパソコンといったスマホ以外の情報通信端末の利用度が突出して低い>

社会の情報化に伴い、教育も情報化することが求められている。具体的には、教授・学習活動(授業)において、ICT(情報通信技術)機器を活用することだ。

当局も本気になってきて、「1人1台の端末環境を生かし、端末を日常的に活用することで、ICTの活用が特別なことではなく『当たり前』のこととなるようにする」「児童生徒自身がICTを『文房具』として自由な発想で活用できるよう環境を整え、授業をデザインすることが重要である」といわれている(2021年1月、中央教育審議会答申)。1人1台端末とは、いわゆるGIGAスクール構想のことで、全国の学校で児童生徒全員にタブレット端末が貸与されている。授業風景も、一昔前とはだいぶ違っているはずだ。

ICTは学校の授業のみならず、生活全般で使われるべきものだが、学校外での利用状況はどうか。<表1>は、「毎日、ほぼ毎日使う」ないしは「1日に数回使う」と答えた生徒のパーセンテージだ。

3つの端末を日常的に使う生徒の割合が示されている。スマホはどの国も9割近くで、大半の生徒が肌身離さず使っている。しかし他の端末となると、利用率はぐっと下がる。特にに日本はそうで、タブレットは29.5%、パソコンに至っては20.9%でしかない。

他国も同じだが、日本ほど落差は大きくない。オーストラリアは、パソコンの利用率は75.6%でスマホと大差ない。アメリカも、パソコンを常用している生徒の割合は68.4%と高い。スマホの利用に偏しているのが、日本の特徴と言える。

タブレットとパソコンを比べると、日本以外の国では後者の利用率が高い。エクセル等を使った、細かいデータ分析や作図をする頻度の違いによるのかもしれない。スマホの利用率のみが突出していることと合わせると、日本の生徒はICTの利用の仕方がライトなものに偏っている印象を受ける。

この印象は数字でも裏付けられる。3つの端末のうち、スマホだけを「毎日、ほぼ毎日使う」ないしは「1日に数回使う」と答えた生徒の割合を国ごとに計算し、高い順に並べると<表2>のようになる。

3つの端末のうち、肌身離さず使っているのはスマホだけという生徒のパーセンテージだ。日本の15歳生徒の半分が、こうした「スマホだけ族」となっている。調査対象の52カ国の中で出現率が最も高い。

手のひらサイズのスマホでゲームをしたり、仲間と駄弁ったり、SNSで流れてくる情報を漫然と消費したりしているだけ、ということだろう。悪いことではないものの、これだけに偏るのは問題だ。

ICTの積極的な用途にも気付かせないといけない。特に情報を消費するだけでなく、情報を生産する側に立つことも重要だ。今では、インターネットを使って自分の意見や作品を自由に発信できる。スマホでもできるが、資料やデータを伴った、内容の厚いコンテンツを作るには、パソコン等の機器もおのずと必要になる。

学校でも、そうした創作を促すような課題を出すべきだ。最近では、入学時に(高価な)パソコンを買わせる大学も多いが、持たせるだけでよしとしてはならない。

<資料:OECD「PISA 2022」>

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