今や軽自動車といえばN-BOXに代表される背の高いモデルが主流だが、ひと昔前まではムーヴなどのハイトワゴンが全盛であった。そんな時代であった2006年にダイハツがかなり背の低いソニカを投入。スポーツモデルじゃないのに全車ターボにしたり、セルシオ並のシートを採用するなど、かなりお金のかかった力作であったのだ。でもどうしてさほど売れずに世を去っていったのか!?!?

文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部

■軽なのにスペシャリティカー!? まさかの高級路線で勝負したソニカ

たしかにデザインもかなり攻めてたなぁ

 軽自動車といえば限られたボディサイズと排気量という制約がありながら、そのカテゴリー数たるや凄まじいモノ。

 現在ファミリーカーとしても主流となっているスーパーハイトワゴンからトールワゴン、ハッチバックタイプの乗用車だけでなく、オープン2シーターのスポーツモデルからワンボックスタイプのワゴン&バンにトラックとさまざまなボディタイプを擁しており、現在は日本のみならず、海外からも熱視線を集めているものだ。

 そんな軽自動車の中で、スペシャリティカーかつグランドツーリングカーという新たな価値を創造しようと2006年にダイハツが送り出したのがソニカというモデルなのだが、残念ながら販売面は成功とは言い難いものとなってしまった。

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■ノイズに振動を極限まで抑えた力作!! マジで高級車だったのよ

ムーヴなど他のモデルと違うテイストにするなど、もっと個性に振ったら運命は変わったかも!?!?!?

 爽快ツアラーをキーワードに生み出されたソニカは、2005年に東京モーターショーで発表されたSKツアラーの市販版。SKツアラーとは爽快ツアラーの略であることは説明するまでもないだろう。

 そんなソニカは爽快で質感の高い走りを実現するために、非スポーツモデルの軽自動車としては珍しく全グレードでターボエンジンを搭載。さらにトランスミッションには世界初のインプットリダクション式3軸ギアトレイン構造を持つCVTを採用し、力強い加速性能と滑らかな走り、そして軽のターボモデルとしてはトップクラスの燃費性能を実現していた。

 さらにロングクルージングを快適に行えるようにと、エンジンマウントを2点式+トルクロッド方式とし、トランスミッションとエンジンの結合剛性を高めてノイズや振動を抑える配慮をしたほか、ドアのシールは下側を2重にし、風切り音の少ないドアミラー形状にするなど、騒音の発生や進入を抑える工夫もなされていた。

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■セルシオ並のシート!? ダイハツの底力がスゴい!!!!!

 またホイールベースはタントと同じ2440mmとロングホイールベースとしたことで、高い直進安定性とセルシオ並みとも評されたゆとりのあるシートの採用も実現し、1470mmという低い全高とワンモーションフォルムの空気抵抗の少ないボディ形状で、まさに爽快ツアラーに仕上がっていたのである。

 このように非常に意欲作であったソニカだったが、フタを開けてみれば期待するほどの販売成績は収められず、わずか3年で終売となってしまった。

 クルマとしては非常に魅力的な仕上がりとなっていたソニカであったが、すでに当時の軽自動車の主力は背の高いスーパーハイトワゴンタイプとなっており、全高の低いスペシャリティカーというキャラクターを持った軽自動車をユーザーが求めていなかったというのが最大の敗因だったのかもしれない。

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