車室内では、誰にはばかることなく好みの音楽を好きな音量で楽しめる。この点において車内は、リスニングルームとして最適だ。しかし、音響的なコンディションはあまり良くない……。でも「サウンドチューニング機能」を駆使すれれば、不利要因への対処が可能だ。

なおその設定は簡単ではないのでプロに任せた方が確実だが、それと並行して自分でもやってみると楽しめる。当コーナーではそれを推奨し、その扱い方を解説している。

現在は、フロントスピーカーのツイーターとミッドウーファー間の再生範囲を振り分ける機能である「クロスオーバー」の設定方法を紹介している。

で、その設定過程においては、ツイーターから発せられる音とミッドウーファーから発せられる音の「位相=音波のタイミング」も揃える必要がある。「クロスオーバー」の設定画面の中には「位相切替スイッチ」も用意されているので、それを操作して「位相」を合わせよう。

例えばミッドウーファーの「位相切替スイッチ」は「正」にしておき、ツイーターの「位相切替スイッチ」の「正」と「逆」とを切り替えてそれぞれの音を聴き、音量が大きくなったように感じられかつ向かってくる感じが強まる方を選べば、この設定を完了できる。

かというと、実際はこのように上手くいかない場合が多い。なぜならば、ツイーターの音とミッドウーファーの音との「音波のタイミング」のズレ方が、状況に応じてさまざまだからだ。表か裏かというような真逆の関係にあれば話が早いが、10度ズレているだけだったり80度ズレていたりする。

なので高度な「プロセッサー」の中には、「位相」を小刻みに変更できるようになっているものがある。そうであれば、細かく変更してみよう。そうしてもっとも向かってくる感じが強まるところを見つけ出そう。

しかしながら「正・逆」の切り替えしか行えない場合も多い。そうであったら、「スロープ」を活用しよう。その活用法は以下のとおりだ。

まずは「正・逆」を切り替えてみて、どちらを選んでも聴こえ方があまり変わらない場合がある。このように“どっちつかずの状態”だったら、ツイーターかミッドウーファーのどちらかの「スロープ」を1段階変更してみる。

例えばツイーターの「スロープ」がマイナス12dB/octに仮設定してあったとすればそれをマイナス18dB/octに変更する。そうするとツイーターの「音波のタイミング」が90度変わる。なのでそこでまた「位相切替スイッチ」の「正・逆」を変更してみると、はっきり違いが現れることがある。そうなったらしめたものだ。音量が大きくなり向かってくる感じが強まる方を選択すればOKだ。

今回は以上だ。次回はこれに続く「クロスオーバー」設定の手順を説明していく。お楽しみに。

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