直接「違反だ」とは書かれていないのに、間接的に違反と判断されるのが交通ルールの怖いところ。ここでは、そういった間接キックのような交通違反を紹介しよう!

文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=Caito@Adobestock)

■信号待ちで運転手が交替する

信号待ちでは運転手交替のほか、トランクの荷物を取りに行くのもダメ(Peak River@Adobestock)

 家族や友達とドライブ中、「運転代わろうか?」という状況がたまにある。安全なところにクルマを停車させて行えばいいのだが、ついやってしまうのが信号待ち中のドライバー交代だ。

 道交法が直接、信号待ちのドライバー交代を禁じているわけじゃない。第44条に交差点内や横断歩道の手前では駐停車禁止と定めているのだ。

 では駐停車とはなにかというと「当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態」を指す(第2条十八項と十九項)。ドライバーが交替のために席を離れることはこの駐停車に当たるので、道交法違反というわけだ。

 勘のいい人ならお分かりかもしれないが、これ、たとえば信号待ちで後ろの荷室に荷物を取りに行ったりする行為も含まれるから注意したい。

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■イヤホンをして運転する

安全運転に必要な音が聞こえなくなるためヘッドフォン装着はNG(Syda Productions@Adobestock)

 最近はスマホで音楽や動画を楽しむ際にイヤホンが活躍するが、イヤホンを付けて運転することはもちろん道交法違反。とはいえ道交法には、「イヤホンやヘッドフォンを装着して運転してはいけない」という決まりはない。

ではなにがだめなのかというと、同法第七十条の「安全運転の義務」に違反するのだ。

 同法は「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定めており、こいつに抵触するのだ。

 現代ではさらに、多くの都道府県が規則や施行細則といった形で「安全運転に必要な音や声などが聞こえない状態で自動車を運転してはならない」と定めている。「聞こえない」というのはイヤホンに限らず、大音量で音楽をかけることなども当てはまるので要注意だ。

■窓から愛犬の顔を出させて走る

気持ちよさそうだが車外に愛犬が顔を出すのはNG(Cavan for Adobe@Adobestock)

 愛犬が窓から顔を出して気持ちよさそうにしている姿は愛くるしいが、これも交通ルール的にはまずい。

 これまた道交法や道路運送車両法が「犬の顔を出してはいけない」と決めてるわけじゃない。引っかかるのは道交法七十六条の「道路における禁止行為」だ。

 ここでは「公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」を禁じている。これでは今一つ分かりにくいのだが、この道交法を受けて、前項と同様多くの都道府県が「車両から身体や物件を道路につき出してはいけない」と定めているのだ。

 愛犬がダメなのだから運転手や同乗者が窓から身を乗り出したりするのはもちろんダメ。こちらはどストレートに、前項でも触れた道交法第七十条の「安全運転の義務」や、同七十一条の「座席ベルト装着義務」に違反する可能性がある。

 暮らし方の変化によって、クルマに関するルールも日々変わっている。思わぬ交通違反に問われないよう気を配りたい。

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