こいつはホントにミニバンなのか? パッと見の印象は列車のようにも見えるミニバンが中国の新興メーカー、理想汽車のMEGA。今回、中国現地で試乗できたのでインプレッションをお伝えしよう。

文、写真:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生

■理想汽車初となるフルサイズBEVミニバン

超未来的なフォルムのまんま市販化されたミニバンといった様相の理想汽車「MEGA」

 この理想汽車(Liオート)MEGAは2023年11月の広州モーターショーで発表されたBEVのミニバン。同社としては初めてとなるEVで、2024年3月から中国国内での販売が始まっている。

 そのボディサイズは全長5350×全幅1965×全高1850mm、ホイールベース3300mmという巨大なミニバンだ。搭載するバッテリーは102.7kWhのCATL製「麒麟電池」を採用。

理想汽車MEGAはリアビューもフロントに負けない個性的な仕上がりだ

 急速充電の出力については500kWまで対応し、わずか9分30秒の急速充電で400km走行可能、22分の急速充電で600km走行可能になるという。

サイドビューも特徴的なMEGA。ルーフからリアにかけてストンと落ちるボディラインは日本車ではほぼ見かけない外観

 バッテリーの最高出力は543ps、最大トルクは55.3kgmとなかなかに強力。0-100km/h加速は5.5秒と、車重2785kgもの巨体にしてはかなりのタイムを誇る。また、サスペンションにはフロントにダブルウィッシュボーン式、リアにマルチリンク式を奢っている。

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■このクルマの真骨頂はやはり2列目シート!

やはりこのクルマの存在意義は2列目シートにある

 このMEGA、外見上はあの初代エスティマを思わせるような流線形フォルムを採用して徹底的に空力性能を追求し、そのCd値は0.215と市販ミニバンのなかではトップクラスの数値を誇る。

 中国国内では「まるで高速列車のような外観」として話題を呼んだMEGAだが、その価格は60万中国元(約1260万円)。予約開始から1万台を突破するなど当初は好調だった受注だが、現在までの中国国内での販売はやや伸び悩んでいるようだ。それもあって2024年4月に3万中国元(約66万円)ほど値下げすることを発表している。

MEGAのインテリア。センターディスプレイと助手席用モニターが一体化している

 さて、そんなMEGAに試乗してみたが、運転していて特にドライバーの感性に訴えてくるような部分はない。かなりの車重であるMEGAだが、強力なバッテリー採用による余裕のモーターパワーで停止時からの加速でもたつくようなこともまったくなかった。

 ただ、このクルマの真の価値は2列目シートにある。中国国内での移動時に何日か2列目シートに座っていたのだが、その快適さは格別。実に快適に2列目でノートPCでの原稿書きに勤しむことができたのだった。いや、これはマジで。

運転席後方の2列目シート用のテーブル。非常にしっかりした作りだった

 MEGAは中国車らしく後席モニターやテーブル、シートの素材に内装の質感などはまったく申し分ない。ただ、BEVのミニバンとはいえもうちょっとドライバー側に訴える部分があってもいいのではないだろうか、と思ったのも事実。

2列目シート用にも巨大な専用ワイドディスプレイを設定している

 実はこのMEGAには中国車のなかで真っ向からぶつかるライバル車があるのだが、今回はそのモデルについても試乗できたのでそちらの試乗インプレも後ほどお届けしたい。

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