バッテリー上がりの際の応急処置と言えば、クルマのバッテリー同士を接続して行うジャンプスタートが一般的。しかし、ハイブリッドカーはジャンプスタート不可、つまり救援車になれないケースがあるらしい。今回はその理由と、誤った方法でジャンプスタートを行うとどうなるかを解説する。

文:デグナー12(Team Gori)/写真:デグナー12、写真AC

■助けてもらっても助けることはできないハイブリッドカ

二次災害が起きないよう、対処に自身がない場合はロードサービスを頼る方が無難

 ハイブリッドカーがバッテリー上がりを起こした場合、ブースターケーブルを使ってガソリン車のバッテリーで復旧可能。しかし、その逆のケース、バッテリーが上がったガソリン車をハイブリッドカーで復旧させようとすると、ガソリン車のエンジン始動ができないばかりか、ハイブリッドカー側が故障する恐れがある。

 その理由は、ハイブリッドカーが走行用のメインバッテリーとハイブリッドシステムの起動や電装品に電力を供給するサブバッテリーを搭載していることにある。ガソリン車のようにエンジンスターターを動かす必要がないため、サブバッテリーを含めた電気系統の容量は大きくない。

 それにも関わらず、ジャンプスタートでガソリン車のエンジンスターターを回そうとすると、発生した大電流がハイブリッドカーにも流れるため、保護機能によってガソリン車のエンジン始動ができなくなる。保護機能がないクルマは、コンピューターやハイブリッドシステムなどの電装系統が故障した事例もあるため、ハイブリッドカーで救援することは厳禁だと認識してほしい。

 助けてもらっても助けることはできないというのは何ともだが、バッテリーが上がってもハイブリッドカーに助けを求めてはいけないし、ハイブリッドカー側も親切心から安易にジャンプスタートをしないように注意が必要。

■ハイブリッドカーのケーブルの接続場所はバッテリーとは限らない

サブバッテリーがエンジンルーム内にない30プリウスはヒューズボックス内のプラス端子にケーブルを接続する

 前述の通り、ハイブリッドカーのバッテリーが上がった場合は、ガソリン車のバッテリーとつないで復旧が可能だが、クルマによってケーブルをつなぐ位置がガソリン車と異なるため注意が必要。

 例えば30プリウスの場合、エンジンルームのヒューズボックス内に復旧用のプラス端子が存在する。この場合、マイナス側はボディフレームやエンジンブロックなどの金属部分につなぐ。

 一方、エンジンルーム内にサブバッテリーが存在する50プリウスはバッテリーのプラス端子で復旧が可能で、マイナス側はエンジンブロックに指定されている。その他にもエンジンルームにマイナス側の救援ボルトがあったり、車種によって接続場所が異なっている。クルマを故障させないよう、取扱説明書で確認してからの作業が安全だろう。

 ちなみに現行の60プリウスでは30同様、ヒューズボックス内に救援用の端子が設置されている。日産のノートe-POWERも同様。エンジンルームをみてサブバッテリーが見当たらない場合はヒューズボックス内を確認するといいだろう。

■備えておくと安心モバイルスターター

モバイルスターターバッテリーがあれば他車の電気を借りなくても単独でジャンプスタートが可能

 間違った手順や方法による復旧は重大な故障につながるため、ロードサービスを頼るのが無難。しかし、救援まで長時間待つこともあり、自分で対処する方法を知っておいた方がいいだろう。最近ではモバイル型のスターターバッテリーもあり、遠出の際はクルマに積んでおくと安心。

 気温が上がるこれからの季節はエアコンなど電装品の使用頻度が高くなり、バッテリートラブルを起こりやすい。突然のトラブルで困らないよう、点検はもちろん、トラブルが起きた時の準備もしておこう。

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