車高調は純正サスペンションを外して取り付ける、アフターパーツのサスペンションのこと。その味付けはメーカーごとに特色があるが、それを自分好みに合わせ込むというのが今回の提案。

車高調メーカーが吟味したセッティングで出荷しているが、それがすべての人にベストであるとは限らない。街乗りオンリーの人もいれば、高速道路移動の人、サーキットメインの人もいる。タイヤもコンフォートタイヤからハイグリップタイヤ、プレミアムタイヤとそれぞれ特性は異なる。一人乗りがメインか、何人かで乗るのがメインかでも美味しい味付けは変わってくる。

◆純正サスペンションは万人向け
社外品は自分好みに進化させるためのアイテム

純正サスペンションはそういったあらゆる使い方の最大公約数的なセッティングである。車高調においてはある程度使用ステージやターゲットを絞っているので、純正サスペンションよりは狙ったステージに合ったセッティングになっているが、それでもやはり最大公約数的なセッティングになっているのは間違いない。

そこで自分好みに車高調をセッティングする手がある。いくつかの方法があり、一番手軽なものは減衰力調整があればそのダイヤルを回すこと。他にはスプリングを変えること。減衰力自体を変えることなどがある。

減衰力調整は締めれば硬い、緩めれば柔らかいというだけではなく、ストロークする速さを調節するもの。なので締めたり緩めたりして、クルマとタイヤとスプリングをバランスの良いポイントを探るべき。

減衰力自体を変える仕様変更と呼ばれるものは、車高調メーカーに一度送って、内部パーツを変えてもらう大掛かりなもの。オーバーホールと同時に行うこともあり、使うステージやタイヤに合わせてより細かく合わせ込む。その効果は大きいが価格も作業だけで1本1万5000~2万円。それにサスの脱着工賃も掛かるし、オーバーホール中の数週間の間はほかのサスをつけるのか、ジャッキにかけて置く必要がある。トータルでは10万円以上の予算が必要だ。

そこでオススメしたいのはスプリング交換。通常車高調のスプリングには直巻きと呼ばれるものが使われる。これは規格品で長さ、内径、外径などが定められている。長さはインチで管理されていて、6インチだと150mm、7インチだと175mmといった具合。内径は直径60mm/65mmあたりが一般的。こういったある程度同じ企画で作られているので、A社の車高調にB社のスプリングを取り付けるということも、サイズが合っていれば可能だ。

また、このスプリング専門メーカーもあり、スウィフト(東京発条)やハイパコ(アメリカ製)などさまざまなサイズのスプリングだけを作っているメーカーがある。メーカーごとに設計思想があり、とにかくリニアさを追求して沈み始めから同じバネレートを発揮するハイパコ。逆に初期はややソフトめなところがあるメーカーなど、さまざまなキャラクターがある。そういったキャラで選びのも手だし、そもそもバネレートを変えてしまうのもあり。

バネレートを高くすれば、同じ荷重の時に沈み込む量が少なくなる。クルマとしてはロールやピッチングが減る。そうなると基本的には走りやすくなるが、乗り心地が悪くなったりタイヤにかかる負担が増えたりもする。そのあたりの兼ね合いもあるので大幅な変更ではなく、スポーティさをアップさせたいなら、元が10kg/mmだったら12kg/mmにしてみるくらい。10~20%くらいのレートアップがオススメ。

乗り心地が悪いのでレートを下げようというのもありだが、その分ストローク量が増えてもっと沈み込んでバンプラバーに当たる「底付き」が起きて、逆に乗り心地が悪くなることもあるので、ストローク量に余裕があるか確認してからレートを下げるようにしたい。

ちなみにバネレートを変更すると減衰力の仕様変更が必要になるという意見がある。大幅にバネレートを変えた場合は減衰力自体も仕様変更したほうがいいが、多少レートを変えたくらいでは全然不要。むしろそんなときこそ減衰力調整の出番である。

必ずしもどれが正解というのはないが、基本的にはバネレートを高くしたら、減衰力は弱めたほうがバランスすることが多い。減衰力を弱めてサスが素早く沈んでも、バネレートが上がっていれば最大ストローク量は減っているのですぐに姿勢は落ち着く。むしろ素早く姿勢が作りやすくなってスポーツ走行しやすくなるという意見も多い。

バネレートだけでなくバネ自体を長いものにすれば動きはゆったりとする。短くすればよりシャキシャキと動くようになる。そういったキャラクターがスプリングによって変えることができる。まずはバネレートやバネの変更で車高調を活用してみるといいだろう。

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