トヨタのイプサムといえば、謎のCMキャラクターである「イプー」で知られる初代モデルが有名だが、一気に上級指向へと転じた2代目モデルはゆとりの室内空間と走りを実現しながらも、エントリー価格が204万円というバーゲンセール価格だったのだ。

文:小鮒康一╱写真:ベストカー編集部、トヨタ

■オデッセイに敗北した初代の反省を生かして登場した2代目モデル

登場から早くも20年以上が経過する二代目イプサム

 そもそも初代イプサムは1994年に登場し、爆発的なヒットモデルとなった初代オデッセイに対向するために1996年5月にリリースされたものだった。

 当初はブームに乗って好調な販売をマークしたが、オデッセイに比べて5ナンバーサイズのボディや2Lというエンジン排気量(オデッセイは2.2~2.3L)がオデッセイよりも格下感を醸し出し、ブームに間に合わせるために性急に作られた点も相まってオデッセイの後塵を拝する結果となってしまったのだった。

 そこで2代目イプサムは、キープコンセプトとなった2代目オデッセイ(1999年デビュー)にしっかり対抗できるモデルとして、3ナンバーサイズのボディや2.4Lエンジンなどを搭載して2001年5月にリリースされたのである。

 そして価格も当時のオデッセイのエントリーモデルが212.5万円だったのに対し、イプサムは204万円と後発なのに安いという戦略的な価格としていたのも、打倒オデッセイという意気込みを感じるものだった。

 またイプサムは欧州でも販売されるモデルとして、操縦性にも重きを置いており、一部グレードには同社のミニバンとしては初採用となる「インフィニティTEMS」を搭載したり、後期型の240sグレードには15mmローダウンの専用サスペンションや17インチホイールなども装着されていた。

■高級感でも負けてないぜ!! オデッセイにも負けない特別仕様車!! 

あくまでもセダンライクな外観とヒンジドアを採用する

 さらに特別仕様車ではあるものの、シート表皮にアルカンターラを使用して質感を高めた「アルカンターラバージョン」シリーズが複数回リリースされるなど、オデッセイに設定されていたV6エンジン搭載モデルこそなかったが、上質感とトヨタらしいクオリティの高さを併せ持つモデルとなっていたのである。

 ただ、当時はすでにミニバンといえばスライドドアを備えたモデルが主流となりつつあり、背の低いヒンジドアの需要は縮小傾向にあったため残念ながら大ヒットモデルとなることは叶わなかったが、かといって他に変わるモデルも存在しなかったため、2010年まで販売が続けられたロングセラーとなったのだった。

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