2024年はアメリカ大統領選挙の年。EVの売れ行きが伸び悩むなか、共和党のトランプ候補がガソリン車復活を掲げて人気を伸ばしている。そこでバイデン大統領は排ガス規制緩和を決定。最終目標は変えずに削減ペースを緩めるというが……?

※本稿は2024年4月のものです
文:角田伸幸/写真:Tesla、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年5月26日号

■中国EVが台頭するなかでバイデンがとった苦肉の策

EVシフトがうまくいかず排ガス規制値緩和に動いた米バイデン大統領

 アメリカのバイデン大統領が排ガス規制緩和を決めた。同国は2032年に自動車から出る二酸化炭素排出量を2026年比で半減することを決定しているが、この目標自体は変えず、そこへ至る2027~2029年の削減ペースを緩める。

 当然2029年から2032年にペースアップが求められるから、問題の先送りという声もある。

 しかしそこにはそれなりの理由がある。政府の後押しを受けてGMやフォードがEVへと舵を切ったものの、思うような利益が上がらずディーラーからは悲鳴が上がる始末。そうこうしているうちに中国がみるみる力を付け、安価なBEVを売り込んできそうな気配も見えてきた。

 おまけに2024年は大統領選。共和党のトランプ候補がガソリン車復活を掲げて人気を伸ばしているから、バイデン政権も自動車ユーザーや自動車労組寄りの施策を打ち出し、人気挽回策を図る必要があるのだ。

 緩和策では「BEVじゃなきゃだめ」とされていた規制も緩められ、プラグイン・ハイブリッドやハイブリッドもリリーフとして販売が認められた。ハイブリッドに長けた日本メーカーにはチャンスかも?

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。