5月22日~24日にかけて東京ビッグサイトで開催された「2024NEW環境展」で、特装車メーカー大手の極東開発工業は、計量装置付き塵芥車の新型モデルやBEVトラックをベースとした塵芥車、清掃ダンプを出品した。注目の展示車両を紹介していこう。

文・写真/フルロード編集部

エルフEVベースのeパッカー

エルフEVをベースに今回開発した極東開発工業のBEV塵芥車、eパッカー

 極東開発工業は電動式塵芥車、初代「eパッカー」を2010年に発売するなど、この分野で早くから電動特装車に取り組んできた架装メーカーである。

 昨年の2023年12月にはEV架装シリーズとしてeパッカーの名を復活させ市販開始。三菱ふそうの小型BEVトラック「eキャンター」ベースのeパッカー(プレス式塵芥車)1号車が香川県の廃棄物収集運搬業者に納車された。

 いっぽう今回展示されたeパッカーは、いすゞ自動車の小型BEVトラック「エルフEV」の短尺車をベースにプレス式塵芥車架装を施した車両だ。

 参考出品車ではあるが、いすゞ製ePTO(油圧ポンプは極東開発製とのこと)を搭載しており、今後エルフEVにおける特装車系へのバリエーション拡大に期待がかかる。

 エルフEVベースのeパッカーでは、ePTOの駆動ユニットをキャブバックに収めているため、プレス式塵芥車「プレスパック」の2トン車架装で一番小柄なタイプ「GB43-220」(ボディ容積4.3㎥)比で、-0.3㎥の4.0㎥と、ややボディ容積が犠牲に……。

eパッカーのキャブバックには架装部の駆動に必要なモーター、油圧ギアポンプ、冷却装置などを収めたボックスが備わっている

 そのかわりエルフEVベース車では、今回の短尺車でも同車のバッテリーパックを3基搭載することができ、バッテリー総容量は60kWhで航続距離に余裕をもたらしている。

 なお、床下等のスペース確保をしやすい電動アクスルを採用するeキャンターでは、キャブ下にePTOが収まるが、短尺車では41kWhのSサイズバッテリーしか選べないため、ボディ容積を取るか航続距離を取るか、一長一短があるようだ。

eキャンターベースのEV清掃ダンプ

eパッカーなどで培ってきた電動技術やノウハウを活かして開発したEV清掃ダンプ

 いっぽう、こちらは極東開発のEV架装シリーズとして参考出品した「EV清掃ダンプ」だ。

 Sサイズバッテリーを搭載したeキャンターの短尺車をベースに、極東開発の天蓋付きの深アオリ・清掃ダンプを架装した車両で、三菱ふそうがオプション設定するePTOを搭載する。

 会場ではダンプアップも行ない、EVならではの静粛性の高さも披露した。発売時期などは未定だが、すでに完成の域に近い。

さらに進化した新型ビーム式スケールパッカー

新型ビーム式スケールパッカー。ロードセルを小型化するこことで標準車と同等の車高を確保した

 また新しいビーム式ロードセルを採用した、極東開発の計量装置付き塵芥車「スケールパッカー」も参考出品された。

 小型化と軽量化した新開発のビーム式ロードセルにより、積載容積・積載重量の性能を満たしつつ現行モデルより車両全高、投入口地上高を約10cm下げ、装置無しの標準車と同等に……。これにより、ごみを投入する際の作業性が向上している。

 また、ビーム式はシャフト式などと比較した場合、精度が高いのが特徴だが、今回さらに計量精度を向上、計量による明朗会計や、過積載防止などにおける高い信頼性も実現した。

新型ビーム式ロードセルはシャシーフレームの四隅に搭載し、積み込んだ重さを計量している

 計量はホッパー後部に備わった表示器で一目瞭然であるが、極東開発がオプションで展開している計量支援システム「スケールリンク」を使えば、スケールパッカーとスマートフォンアプリや専用WEBシステムとの連携ができ、積載量・回収状況の閲覧・管理も可能だ。

 なお、新型ビーム式スケールパッカーは中型4トンクラスのプレス式塵芥車「プレスパック」に対応し、2024年度内に発売を予定している。

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