トラックボディからウイング開閉装置まで、さまざまなモノを開発しているパブコ。5月に開催されたジャパントラックショー2024の同社ブースでは、そんな同社が新たに開発した、大型トラック用ルーフベッドが初公開された。後発メーカーの強みを活かし、快適性や機能性を追求した同社初のルーフベッド「CABUTO(カブト)」に迫る。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
ルーフベッドの生産数アップと短納期化を実現!
CABUTOは三菱ふそうの大型トラック「スーパーグレート」の3軸6×2車型FUおよび4軸低床8×4車型FSのショートキャブ車専用に開発されたルーフベッドである。展示品はプロトタイプだが、一部仕様を除けば、ほとんど量産品に近い形になっているという。
ショートキャブ車とは、運転席の後ろのベッドスペースをなくしたモデルで、ベッド付きのフルキャブ車よりも荷台を約350mm長くでき、1台あたりの輸送量を増やせるのが特徴。そしてこのショートキャブ車でもドライバーが休憩できるよう、屋根(ルーフ)に取り付けるのがルーフベッドだ。
スーパーグレートには、もともと「スーパーマルチルーフ」というルーフベッドがオプション設定されているが、メーカーが1社しかなく、生産数に限りがあることから、ふそうグループのパブコでも独自にルーフベッドを開発し、生産を行なうことになったという。
生産はウイングボディ等の生産拠点であるパブコ本社相模工場で行なわれ、ボディとルーフベッドを同時に生産/取り付けることで納期のスピードアップを図る。そのため取り付け対象はパブコ製ボディを架装する車両に限られる。
なお、CABUTOの生産にあたって工場に特別な設備導入などは行なっていないが、場所の確保、および量産のためさまざまな準備を行なったという。生産数は年間100〜200台の予定で、需要に応じてさらなる増産も検討したいとのことだ。
快適性/機能性を高めたCABUTOのベッドルーム
CABUTOは後発メーカーとしての強みを活かし、快適性や機能性を高めるためさまざまな工夫を盛り込んで開発されている。
まず骨格となるシェルは耐久性/耐摩耗性に優れるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を採用。直射日光にさらされる取り付け位置だけに暑さ対策は充実しており、前面、後面、側面に断熱材を入れて、さらに遮熱塗装もオプション設定する。
この遮熱塗装は調色ができる最新タイプで、ソリッドカラーに限られるが、ユーザーの好みのカラーリングを施すことも可能だ。
ベッド(運転席から見ると屋根)は、従来のスーパーマルチルーフでも採用されている2分割の跳ね上げ式を踏襲。運行中は運転席側を跳ね上げておけば、頭上空間が広々して圧迫感を感じにくく、また着替えも立って行なうことが可能。布団などは助手席側に置いておける。
ちなみに国産大型メーカーで2分割跳ね上げ式ルーフベッドを採用しているのは三菱ふそうだけという。
ベッドルームの出入りはセンターコンソール部に備わる踏み台を使って行なう。ベッドは長さ1920mm×幅985mmで、天井の高さは755mm。座って寛ぐのは厳しいが、大柄な男性でも足を伸ばして寝ることができるだけのスペースが確保されている。
エアコンは運転席と共用で、走行時に室内全体を冷やしておき、寝る時はセンターコンソール部の送風ダクトのバルブを開けばベッドルームにダイレクトに送風可能。サーモスタッド付きのサーキュレーションファンも備わり、設定温度になれば自動で空気循環する機能も備わる。
左右の窓はキャンピングカー用品を流用したもので、網戸とシェードを装備。シェードを使った状態だとベッドルームが真っ暗になるが、ベッド横のデスクに備わる調光ダイヤルで室内の明るさを調節可能。デスクには電源取り出し用のシガーソケットも備わる。
このほか、古さを感じさせないことを意識したという外観のスタイリングにも注目だ。
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