クルマを運転するなら必携の運転免許証。普段何気なく使っている免許証にも、実は知られていない秘密がある? この記事では、そんな運転免許証の豆知識をいろいろ見ていくことにしよう!

文:長谷川 敦/写真:写真AC、イラストAC

■サイズや材質に関する3つの秘密

運転免許証の顔写真撮影は緊張しがちで、仕上がりに不満があるという人も多い。そんな時には所定の手続きを行えば顔写真の変更も可能だ

 まずは物理的に運転免許証そのものに関する秘密を紹介する。

■秘密1 現在のサイズになってから30年

 現在の運転免許証は5.4×8.56cmで、これはクレジットカードとほぼ同じ大きさだ。実はこのサイズになったのは1994年のことであり、それまでは6.9×9.7cmと、現在のものよりひと回り大きかった。

 サイズ変更によってパスケースやサイフに収めやすくなり、これは多くの人に歓迎された。なお、2007年からはICチップ内蔵型に進化し、厚みは従来の0.5mmから0.76mmに増えている。

■秘密2 運転免許証は何でできている?

 実際の運転免許証を持ってみると、紙製のようにも思えるが違う気がする。では、どんな材質が使われているのだろうか?

 現在のICチップ入り運転免許証には表面をラミネート加工した紙が用いられている。また、裏面には各種書き込みをしやすいようにラミネート加工は施されていない。

 だから衣類を洗濯する際に免許証をポケットに入れたままにして一緒に洗ってしまわないようにしよう。運転免許証を破損したり紛失したりした場合は所定の手続きを行えば再交付される。

■秘密3 顔写真の変更も可能

 運転免許証に写る自身の姿が気に入らない人は意外に多い。実は、その顔写真は運転免許証の更新時でなくても変えられる。

 2019年に道路交通法が改正され、破損などのやむを得ない理由がなくても顔写真の変更が可能になった。さらに地域によっては申請者自身が用意した写真を使った免許証にすることもできる。

 もちろん、顔写真の変更は運転免許証の再交付になるため手数料は必要だ。

■運転免許証の歴史に関する3つの秘密

■秘密4 日本初の免許証は明治40年!

 全国で自動車を運転する際に許可証が必要になったのは明治40年(1907年)のこと。それまでは自由だったクルマの運転にも免許証(当時は運転手免許と呼ばれていた)の所持が義務付けられるようになった。

 ちなみに当時の運転手免許証は警察署の焼き印が入った木製の札だったという。

■秘密5 意外に長いオートマ限定免許の歴史

 自動的に変速操作を行うオートマチックトランスミッション(AT)車は、現在日本国内を走るクルマの90%以上を占めている。

 運転手自身がシフトレバーとクラッチペダルを操作するマニュアルトランスミッション(MT)車に比べて操作がラクなAT車には、それ専用の免許証が存在する。

 いわゆるオートマ限定免許が日本に導入されたのは1991年で、この免許を取得する際にMT車の技能検定を受ける必要がなくなった。

 すでに30年以上の歴史があるオートマ限定免許の所持者は、2023年の時点でその所持割合が全運転免許所持者の70%を超えている。

 試験を受けてそれに合格すればオートマ限定を解除することもできるが、多くの人はオートマ限定免許のままドライバー人生をまっとうすることになる。

■秘密6 ゴールド免許はいつから始まった?

 無事故無違反の「優良運転者」に交付されるゴールド免許証は1994年5月に導入がスタートしている。つまり2024年でちょうど30年の歴史を迎えたことになる。

 なにかとメリット多いゴールド免許については、次の項で詳しく紹介していくことにする。

■黄金に輝くゴールド免許4つの秘密

ゴールド免許なら自動車保険料の割引もある

■秘密7 有効期間が長い

 初心者に交付されるグリーンの免許証や、過去5年以内に複数回の交通違反や事故のあった人のブルー免許証は有効期間が3年になる。有効期間が短いと、免許更新のための時間を作らなくてはならず、当然ながら費用もかかる。

 しかし、ゴールド免許なら有効期間が5年と長く、これが意外にラク。過去5年以内に無事故無違反、あるいは軽微な違反が1回だけのブルー免許保持者は「一般運転手」になり、こちらも有効期間が5年になる。

■秘密8 更新手数料が安い

 ゴールド免許の更新手数料は一般運転者や違反運転者、または初回更新者などに比べて割安になる。更新の際に受けなくてはならない講習の時間が短いのもゴールド免許のメリットといえる。

■秘密9 全国どこでも更新が可能

 ブルーやグリーンの免許証は自身が居住する地域の所定の場所で行う必要があるが、ゴールド免許の更新は全国の該当施設で行える。

■秘密10 自動車保険の割引もあり

 各社が用意する自動車保険には「ゴールド免許割引」を設けているものも多い。そこまで大きな値引率ではないが、やはりメリットであるのは間違いない。

■そのほか運転免許証に関する秘密アレコレ

■秘密11 日本の免許証は海外でも使える!?

 海外に行ってレンタカーなどを運転する場合に必要になるのが国際免許証。

 しかし、ハワイ(ハワイ州)では入国から1年以内であれば、日本の運転免許証のみでクルマを運転することができる。

 とはいえ、事故にあった際などに免許の提示を求められた場合、現地の警官が日本語を読めずにトラブルになる可能性もあるので、国際免許証を取得していくほうが安全だ。国際免許証は居住地域の運転免許センターや運転試験場、警察署で取得できる。

■秘密12 いつの間にか西暦表記に?

 運転免許証には有効期限が記載されているが、昭和、平成、令和と続くうちに、現在の西暦年はわかるものの、平成や令和といわれるとピンとこないというケースも多かった。

 以前の運転免許証では有効期限を和暦のみで表記していたので、それによって免許の更新時期を逃して“うっかり失効”してしまうなどということも……。

 そこで元号が平成から令和に変わった2019の年5月5日以降に更新された運転免許証では、西暦と和暦が併記されるようになった。

■秘密13 失効から3年以内なら再交付される

 病気で入院などのやむを得ない事情がある場合、免許証の更新期間がすぎても再交付の申請は可能。ただし、申請を行う際には医師の診断書も提出しなくてはならない。

 日常では運転時の携帯と身分証明などに使っている運転免許証にもさまざまな秘密がある。この機会に一度自分の運転免許証をしっかり確認しておくとよいかもしれない。

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