クルマの基本形として長らく活躍してきたセダンだが、近年はSUVやミニバンの勢いに押される一方。しかし、安定した走りや優雅な乗り味、高いステイタス性など、セダンやサルーンでしか得られない魅力も多い。そこで、100万円台で贅沢な気分になれる国産サルーンを紹介しよう。

文:木内一行/写真:トヨタ、日産、ホンダ

■レクサスGS(最終型)「国産最高級ブランドだからこそ味わえる高いクォリティと質感」

レクサスを象徴するスピンドルグリルを採用するとともに、走りを予感させる踏ん張り感あるスタイリングを実現。加えて、張りのある面構成によりダイナミックさも強調されている。標準グレードのグリルは横桟形状だが、スポーティグレードはメッシュ状となる

 今では、ラージサイズからEVまで多くのSUVを揃えるレクサス。しかし、日本で開業した当初はセダンのみのラインナップで、その中間モデルに位置していたのがGSだった。

 そんなGSも2020年に消滅したが、トヨタが世界に誇る高級ブランドのミドルサイズサルーンゆえ、100万円台で手に入れられるのであれば狙わない手はない。

 4代目にあたる最終型が登場したのは2012年。堂々としたサイズのエクステリアは、スピンドルグリルやL字型テールランプを採用してレクサスブランドを主張。全長とホイールベースは先代3代目と変わらないが、全幅とトレッドを拡大して踏ん張り感のあるスタイリングとしている。

 インテリアの仕立てもレクサスらしいもので、ドライバーだけでなくすべての乗員に対しておもてなしを実現。特に、後席のスペースや装備など、快適性を追求したという。

 一方、走りも大幅に進化し、一新されたプラットフォームと新開発サスペンションを採用。エンジンは3.5Lと2.5LのV6、3.5LV6ハイブリッドからスタートし、その後2.5L直4ハイブリッドや2L直4ターボも追加された。

 100万円台で狙えるのは2015年のMC前の前期が中心だが、国産最高級ブランドのサルーンをその価格帯で手に入れられるのは魅力的すぎる。

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■日産スカイライン(現行型)「シーンによって性格を変える最新の二刀流セダン」

現行V37型日産スカイライン

 スカイラインといえば、70年近い歴史を誇るスポーティセダン。

 V型エンジン搭載時には批判され、一時期は消滅するなんてウワサも流れるほどだったが、現行V37型はクルマとしての実力も充分。そのキャラクターから、普段はゆったりと流し、いざとなれば攻めた走りも楽しめる、いわば二刀流サルーンなのである。

 エクステリアは、スカイライン伝統のロングノーズ&ショートデッキのプロポーションで、低くワイドに構えたマスクには高い技術力や品質の証としてインフィニティバッジが装着された。

 インテリアは、運転席がドライビングに集中できる機能性と高揚感、助手席と後席はゆとりと快適さを提供。スポーティサルーンにふさわしい空間だ。

  当初のエンジンは3.5LV6+モーターのハイブリッドのみだったが、ほどなくして2L直4ターボを追加。2019年のMC時にこの直4ターボが消滅し、代わりに3LV6ターボが搭載された(2022年9月には3LV6のみに変更)。

  さらに、世界一クイックなハンドリングを実現するダイレクトアダプティブステアリングや、高速走行を支援するアクティブレーンコントロールといった世界初の装備も搭載。全方位対応の衝突回避システムなど、先進の安全装備も採用されている。

 前期は2ケタ万円の物件が多数あるし、後期も数は多くないが100万円台で狙える状況。走りも楽しめるスポーティサルーンは、選択肢としてアリだろう。

■トヨタカムリ(最終型)「グローバルに活躍するトヨタの最上級FFサルーン」

これまでのカムリのイメージを覆す、グラマラスな造形が特徴的。スリムなアッパーグリルとワイドなロアグリルにより、走りを感じさせるワイド&ローを実現している。また、サイドウィンドウをコンパクトにすることで、スポーティな印象も演出する

 北米を主戦場にアッパーミドルセダンとして絶対的な地位を確立しているカムリ。2023年に生産終了した最終型はセダン人気がイマイチの日本でも健闘し、幅広い世代から人気を集めているFFサルーンだ。

 すべてを一新した最終型は、スタイリングが一番の魅力。抑揚のある面とシャープなラインからなる美しいシルエットを持ち、低いボンネットやベルトラインで低重心を強調。ダイナミックなマスクなど、従来のカムリのイメージを覆すエモーショナルなデザインが各所に取り入れられている。

 新開発のプラットフォームとパワーユニットも見どころ。トヨタがグローバルに取り組むクルマ作りの構造改革「TNGA」に基づいて開発された新プラットフォームは、優れた重量バランスや車両安定性を達成し、上質な乗り味や意のままの走りを実現。

 パワーユニットは、新世代の2.5L直4に改良版ハイブリッドシステム「THSII」をドッキング。これにより、クラストップレベルの燃費性能と優れた動力性能を手に入れた。

 さらに、モデルチェンジ約1年後に追加されたWSにも注目。ワールドワイド&スポーティの略である新グレードは、エアロパーツを装着してサスペンションチューンを実施。スポーティさと上質感を両立させ、カムリの新たなイメージを作り上げたのである。

 そんなグローバルで活躍するアッパーミドルサルーンだって、100万円台で手に入れることが可能だ。

■ホンダレジェンド(最終型)「圧倒的な存在感はフラッグシップモデルならでは」

最終型レジェンド

 セダン好きなら一度は憧れるであろうフラッグシップサルーン。レジェンドもホンダが誇る最上級セダンだが、最終型でも100万円台から狙うことができる“買い”の一台だ。

 2014年に国内仕様が発表された最終型は先進装備満載のハイブリッドモデル。核となるのは前1/後2の3モーターを備えるハイブリッドシステムだ。

 状況によって、FF/FR/4WDの駆動方式と、EV/ハイブリッド/エンジンという走行モードのなかから、最適な駆動方式とエネルギー効率の最もいい走行モードを連続的に自動で切り替える画期的なシステムを採用。

 左右に伝達する駆動力を自動的に制御するトルクベクタリングを可能とし、優れた燃費性能とともに高い操縦性も実現した。

 もちろん、フラッグシップサルーンとしての実力も充分。流麗でダイナミックなフォルムは圧倒的な存在感を放ち、ジュエルアイLEDヘッドライトにより先進感を強調。先代よりも後席空間を大幅に拡大した室内は、上質な本革のシートやソフトパッドを用い、安心感と快適性をもたらす空間に仕立てられている。

 2018年には内外装のリファインやメカニズムのアップデートを行った大規模なマイナーチェンジを実施。そして、2022年には生産終了となった。

 レジェンド自体は新車での販売台数が少ないため、物件数も決して多くはない。しかし、前期であれば100万円台で最上級サルーンを堪能できるのだ。

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