カーディーラーの来店客数は、土日祝日にピークを迎える。しかしGWやお盆、そして年末年始の大型連休には、店休日を設けるディーラーは多い。矛盾しているカーディーラーの動きだが、その裏には隠された秘密があった。飛び石連休もなんのその、カーディーラーの大型連休は長いぞ!

文/佐々木 亘 写真/AdobeStock(トップ画像=Tomasz Zajda@AdobeStock)

■同じ休日でも、土日と大型連休では客足が大きく異なる

販売店にとって土日・祝日は勝負の日となるが、逆にGWやお盆、年末年始などの連休には閑散とする(Africa Studio@AdobeStock)

 販売店にとって土日・祝日は勝負の日だ。最も来店客が多く、顧客との約束も取り付けやすい土日は、成約につながる商談が多くなる。休みを利用して点検整備を依頼するユーザーも増えるものだ。

 また、土日の営業では、細かな来店客の数や、商談数、試乗の回数や査定数などの集計を取り、営業マンがどれだけ営業活動を行ったのかを分析する販売店が多い。

 ユーザー側にも営業マンにとっても、土曜・日曜の営業は大切なものなのである。

 しかし大型連休となると話は変わる。たまの長い休みだからと、家族で旅行や帰省を計画している人は多いのではないだろうか。

 わざわざ大型連休の頭から、ディーラーに行くことを計画している人は少ないと思う。

 そう、GWのような大型連休になると、ショッピングモールなどはにぎわうが、自動車ディーラーは閑散とする。

 過去の経験からそれが分かっていて、「それなら私たちも休みにしよう」とお店を閉めるところが多くなるのだ。

 大型連休前後は、旅行などの出費もかさみ、クルマの購入意欲は下がりがち。無理に営業していても、お店にとっては損の方が多くなるというわけ。

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■連休に営業するディーラーも出てきてはいるが

大型連休中にお店を開けていると、来店するのは県外ナンバーのクルマがほとんどで、たいていショールームをひと回りして帰っていく。正直閑古鳥が鳴いている状態だ(WavebreakmediaMicro@AdobeStock)

 筆者の経験上、大型連休中にお店を開けていると、来店するのは県外ナンバーのクルマがメインだ。

 中でもカップルが、観光の途中なのか、デートコースに入っているのか、隣県からやってきて、ショールームをひと回りして帰っていくのが概ねの流れ。あとはサービスの予約がちらほらといったところである。

 ショールームは閑古鳥が鳴く大型連休だが、この時期にお店を開けるとサービス工場は忙しい。予約はそれほどではないが、飛び込み修理のクルマが多数入ってくる。こちらも県外ナンバーが多い。

 入庫の理由はパンク、エンジンがかからない、事故を起こした、バッテリーがあがったなど。

 またロードサービスからは、直接クルマを持ち込んだら対応してもらえるかといった問い合わせが増え、一気に野戦病院のような状況になってしまう。

 最近では、GW・シルバーウィーク・年末年始にしっかりとお店を開けているディーラーも増えているが、その多くはサービス工場を閉め、営業マンのみで営業する体制をとる。

 連休中でも商談だけはできるのが、令和のディーラーの姿だ。もちろん、大半は全店休業なので、用事がある人は店舗のスケジュールを必ず確認してほしい。

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■サービス工場だけでも開けてほしいが実際は?

ユーザーとしては連休中、各都道府県で数店舗はクルマを整備できる場所を設けておいてほしいところだが……?(Tomasz Zajda@AdobeStock)

 ユーザー側に立って考えると、大型連休初日にクルマが不具合を起こしたら、現在の体制ではジ・エンド。連休中はマイカーを使えなくなり、予定もすべてキャンセルになるだろう。

 こうした事態を避けるためにも、大型連休中に各都道府県で数店舗は、クルマを整備できる場所を設けておいてほしいところ。

 ただ休みの日に駆り出されるスタッフのことも考えると心苦しいから、もちろん割増賃金で。ユーザー側が支払う整備費用も時間外対応の割増価格になるのは、当然のことだろう。

 これを適正なサービスと、ディーラー側もユーザー側も納得できれば、連休中の営業も可能になる。

 ニーズの高まり次第だが、新しいディーラーの動き方として、「整備だけの連休中営業」は実現してほしいものだ。

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