停止線があることを示す「停止線」とかかれた青色の指示標識。道路に標示される停止線が見えづらい場合や、舗装されていない道路であるために停止線を標示できない場合などに設置されるものですが、この停止線標識が設置されている箇所では、必ず一時停止が必要なわけではありません。

文:エムスリープロダクション/アイキャッチ画像:写真AC_bouquetjaune/写真:Adobe Stock、写真AC

「停止線」標識は停止する場合の位置を示すもの

 「停止線」標識は、クルマが停止する場合の位置を示す指示標識です。指示標識とは、特定の交通方法ができることや道路交通上決められた場所などを指示する青色の標識のこと。停止線標識のほか、横断歩道、中央線があることを示すものや、優先道路であることを示す標識なども指示標識です。

 ここまででわかるとおり、停止線標識が設置されている場所は、クルマが停止する場合の位置を示しているだけ。そのため、この標識自体に一時停止を義務付ける効力はありません。

停止線標識が設置されている場所は、クルマが停止する場合の位置を示しているだけ。この標識自体に、一時停止を義務付ける効力はない(PHOTO:写真AC_orcl)

道路標示の停止線にも一時停止を義務付ける効力はない

 ただ、停止線標識のある場所では、あわせて停止線も道路に標示されている場合も多いですよね。実はその場合でも、規制標識である「止まれ」と書かれた赤い標識がなければ、一時停止の義務はありません。

 指定場所における一時停止については、道路交通法第43条において「車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。」と規定されています。

 ポイントは、「道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、一時停止しなければならない」ということ。この「道路標識等」については、同法4条5において「道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める。」とされていますが、これに該当する内閣府国土交通省令である「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」には、規制標示に一時停止を義務付ける定めはなく、指示標示として停止線が「車両が停止する場合の位置であること」と定められています。

 横断歩道手前の停止線で必ずしも一時停止する義務はない、という事例が分かり易いかと思いますが、道路標示の停止線には、一時停止を義務付ける効力はないのです。

横断歩道手前の停止線も、渡ろうとする歩行者がいる場合などにクルマの停止位置を示すもの(PHOTO:写真AC_のとみ)
一時停止を義務付ける規制標識。この標識がある場所では、ドライバーは一時停止をしなければならない(PHOTO:写真AC_himawariin)

違反にならなくても、安全を確認して通行を!!

 停止線に加えて、道路に「止まれ」とペイントされている場合でも、一時停止義務のある「止まれ」とかかれた赤の規制標識がなければ、道路交通法違反にはなりません。しかしながら、わざわざ「止まれ」とペイントされたことには意味があるはず。一時停止までは必要ではなくても、最徐行をするなど、安全に配慮した運転は必要です。

 先日、生活道路の法定速度が、現状の時速60キロから時速30キロになるというニュースがありましたが、たとえ時速60キロで通行しても違反にならないとしても、道幅が狭く歩行者が多い生活道路で、そのような速度で走行することは安全に配慮しているとはいえませんよね。規制標識は守って当然、これに加えて、安全に通行できるかを判断し、状況にあった運転操作をしたいものです。

道路に「止まれ」とペイントされている場合でも、赤の規制標識がなければ違反にはならない。ただ、わざわざ「止まれ」とペイントされたことには意味があるはず!!(PHOTO:写真AC_テクスチャ写真素材LABO)

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