オーディオをスタートさせる際に、ショップのデモカーを参考にするのはひとつの手法。そのために愛媛県のサウンドカーペンターが用意したのがこちらのトヨタ『C-HR』。サイバーナビでマルチシステムを組み、2ウェイ+サブウーファーの基本のシステムを完成させた。

◆フロント2ウェイをマルチ接続するサイバーナビの導入でシステムをシンプル化

高音質であること、ツイーター/ミッドバスの2ウェイシステムをマルチ接続できることなどがサイバーナビのセレクト理由となった。2ウェイスピーカーのクロスポイントを設定できるのもサイバーナビの特徴のひとつ。これで個別のコントロールが可能になる。

今回紹介しているC-HRはサウンドカーペンターのデモカーでもあり、代表の仲尾さんの普段使いするクルマでもある。そのためはじめてのユーザーにも導入しやすいハードルの低いシステムでありながら、プロのインストーラーが日常ユースとしても快適なサウンドであることが求められた。これは想像以上に難しいテーマとなった。

前編でお伝えしたとおり、フロントスピーカーはブラムの2ウェイセパレートモデルに交換されている。その上でシステムをできる限りシンプルにするために用いたのがカロッツェリアのサイバーナビ(AVIC-CQ912II-DC)だった。

チョイスの理由はまずは音の良さ。鮮度の高いサウンドを楽しむにはカロッツェリアのハイエンドモデルとなるサイバーナビは絶好。さらに内蔵アンプとDSPをフル活用することで各スピーカーのドライブ&コントロールをサイバーナビが一手に引き受けてくれる。具体的にはフロント2ウェイスピーカーをマルチ接続している。これは本来はフロント/リアに割り当てられているスピーカー出力を、ミッドバス/ツイーターに割り当てる方法。ミッドバスとツイーターを個別にコントロールできるため、より詳細な調整が可能になるのだ。まずはミッドバスとツイーターのクロスポイント(カットオフの機能)が設定でき、ミッドバスとツイーターの再生する帯域を個別にコントロールできるのが魅力だ。

◆ツイーター/ミッドバスを個別に調整可能、目の前に現れるフォーカスの合った音が体感できる

タイムアライメントも左右ツイーター、左右ミッドバス、サブウーファーとそれぞれを個別でコントロールできる。左右独立のイコライザーも車室内環境を整える調整としてはレベルが高い。シンプルなシステムでもココまでの完成度を体感できる。

サイバーナビの調整機能はかなりレベルが高く、詳細な設定が可能だ。これもシンプルかつ高音質なシステムを目指したC-HRへのセレクト理由でもある。先に紹介した通りミッドバス/ツイーターを個別に接続するマルチ接続を実施できるのがまずは大きな魅力。写真で見るとわかるとおり、ツイーターは4kHzより高い周波数、ミッドバスは4kHzから低い周波数を再生する設定になっている。これができるのもサイバーナビの特徴のひとつだ。

さらにタイムアライメントの調整でもツイーターとミッドバスをそれぞれ個別に調整できるのが魅力。目の前の空間から音像が現れるサウンドは詳細なタイムアライメントの調整がもっとも効果的だ。フォーカスの合ったサウンドを楽しめるのもツイーター/ミッドバスを個別に調整できるタイムライメント機能があるからこそだ。

さらにイコライザーも31バンド、左右独立のかなり高度な調整機能を備えている。車室内の環境に合わせたイコライジングを綿密の施すには絶好の環境だ。フロントスピーカーの持つポテンシャルを存分に引き出すには、車室内環境に合わせたイコライジングは大切。インストーラーの腕の見せ所でもあるので注目したい。

◆低音再生をカバーするサブウーファーも設置、録音された周波数帯域を余すところなく再生する

サブウーファーにはアンプ内蔵のパワードタイプをチョイス。ここでもシンプルなシステムを徹底して導入のハードルを下げている。パワードサブウーファーはオーディソンのAPBX10AS2。振動板を下向きセットできるので荷物積載時も気を使うことがない。

このデモカーにはサブウーファーとしてパワーアンプ内蔵タイプのオーディオソンAPBX10AS2を用いている。ラゲッジルームの片隅に設置できるコンパクトなボディ(460mm x 338mm x 158mm)を持つ。また荷物も載せるラゲッジは振動板が露出していると気を使ってしまうのだが、このモデルはボックスを下向けに設置することも可能で外側から振動板が見えない取り付けが可能なのも魅力。

フロントスピーカーを好みのモデルに交換した上で、しっかりと低音をサポートするサブウーファーを備えることで、低域から高域までの周波数帯域をフルでサポートし、音源が本来持っているサウンドを余すところなく再生する基本のスピーカーシステムを完成させた。手持ちの音源をセットして聴いてみる普段聴いている音源に厚みのある低域が録音されていたことを再認識するだろう。

高音質なオーディオをはじめるにあたって、どんなシステムを組めば良いのか迷っているユーザーも多いだろう。そんな時にはこのようなショップのデモカー、特に初心者にも取っつきやすいシンプルなシステムを組んだクルマをチェックするのが近道。実際に試聴してそのサウンドを確かめた上でシステムアップすると不安も無く確実な高音質化が体感できるので要注目だ。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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