自動車盗難は年々その数を増している。特に人気がある車種の盗難率は桁違いに高く、一度盗難されようものなら見つかる可能性はほぼゼロに近い。今回はその中でもワースト1位を何度も獲得したトヨタ「ランドクルーザー」の盗難の全貌をお伝えしよう。

文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ
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■覆面パトカーがやってきた

もう「戻ってこないです」と終止符を打たれることで、盗まれたショックを和らげたい、すぐにでも立ち直りたいと思っているように見えた

 警察官の聞き取りでは「クルマがないことにいつ気がついたのか」、「家族や他の人にクルマを貸しているということはないか」、「昨晩は何時ごろに帰宅したのか」、「クルマに鍵をかけ忘れたということはないか」などの質問が繰り返されるという。

「20代後半か30代くらいかな、制服を着た警察官2名がやってきて、代わるがわる同じ質問を繰り返し聞いてきた。いや、もう、クルマが盗まれた現実味なんてまったくわかなくて、頭も真っ白だったからなんと答えたかも記憶にないくらいです。幸い妻も立ち会ってくれたんで事実は伝わってはいるだろうけど、質問の内容に答えられてか自信がない」

 その様子を妻の優子さんに聞くと「夫はしきりに、盗まれたらもう戻ってきませんよね、と繰り返していました。もう「戻ってこないです」と終止符を打たれることで、盗まれたショックを和らげたい、すぐにでも立ち直りたいと思っているように見えました」と語る。

■被害届の仕組みって?

「そこからたぶん30分くらい経ったあたりで、最初に来た警察官が呼んだ刑事2人が覆面パトカーでやってきました」

 警察の規則である犯罪捜査規範には、<警察官は、犯罪による被害の届出をする者があったときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない>(犯罪捜査規範第61条)と定められている。

 しかし被害届はあくまで犯罪があったことを警察に伝えるための書類で、捜査を始めるきっかけにすぎない。さらに、その犯罪が被害を訴える本人の自作自演だった場合、受理をしてしまうと警察の不備として糾弾される恐れがあるため、実際のところ受理には時間がかかる場合があるようだ。

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■自分が知らないだけなのかも知れない

20年前はこの近辺でもランクルの盗難被害は多発していたが、最近ではめっきりなかったとのことだ

「犯行はおそらく夜でしょう。盗難が分かったのは翌朝8時ごろで、その時間帯ならばもうとっくに解体されて姿形もないか、船の上かどちらか。もう戻ってこない…と頭では分かりつつも、希望も捨てきれません。

 現場検証にきた刑事は「総額いくらの被害か」、「防犯カメラの設置はあるのか」、「査定額はいくらか」、「最近で怪しい人を見かけなかったか」など聞いてきたので、それに答えた後にも、盗難されたランクルが戻ってくるかどうかを聞いたんですが、それには応えてくれませんでした。」

 悟さんいわく、20年前はこの近辺でもランクルの盗難被害は多発していたが、最近ではめっきりなかったとだけ伝えられたそうだ。

「怪しい人と言われてそういえば…と思ったのが、最近近所の駐車場で急にクルマの警報機が鳴る騒ぎがあったんです。盗難被害に遭う数ヶ月前の深夜です。その時は近所の人たちも何事かと自宅から出てきて、その様子を伺っていましたが、特に怪しい人も見かけなかった。

 今考えるとあれは単なる誤作動だったのか、あるいはハッキングなどされたのか…。その後、その近所の方に聞いてもよく分からないと言われたし、盗難されたわけでもないからすっかり忘れていたのですが、今思えば私たちの知らないところで何かが起こっていたのかもしれません」。

■「Nシステムに写ってました」「ランクル盗難には闇バイトが関与」本記事には続編があります

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