クルマ好きであれば「車両盗難」というワードをニュースなどでよく耳にするはず。旧車に外車、人気車問わず、盗難団からしたら金にさえなれば何のクルマでもいいのだ。今回、車両盗難の被害にあったという悟さん、50歳の男性でランドクルーザーを所有していた方にお話を伺わさせてもらった。読者も油断は禁物ということを肝に銘じてほしい。

文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ
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■近年身近となってしまった「闇バイト」の存在

自分のクルマは大丈夫っしょ~。それ、危険です

「警察からはその日のうちに、周辺の防犯カメラで深夜2時ごろにランクルが盗まれた映像が確認できた、と連絡が入り、無事に被害届けが受理されました。

 その3日後くらいには、高速道路に配置しているNシステムでクルマのナンバーも検出されたと言われ、その場所は大崎だったと告げられました。」

 警察庁の統計によれば、おととしには710台、昨年は643台のランドクルーザーが盗難の被害に遭っており、そのほかにはプリウスやレクサス、アルファードなど海外でも人気のある高級車が狙われる率が高い。

 盗難されたクルマはそのまま日本で使用されるパターンもあるが、外国人にも絶大な人気のランドクルーザーは不正に輸出されることが多い。

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■そもそも盗難団って、どんなやつらなん!?

防犯対策を怠ったその瞬間! あなたの愛車はそこにはないかも…..

・輸出を担当する複数の盗難車流通ルートが確立し、その流通ルートの末端に複数の窃盗グループが組み込まれていたものの、多数の仲介ブローカーが介在している

・自動車窃盗、密輸出のネットワークが大きくなるほど、相互の関係があたかも正当な商取引のようなものとなっており、密輸を担当する来日外国人にも、犯罪を敢行しているという意識が希薄な者が多い

・自動車窃盗グループに対して支払われる報酬は比較的安価で、例えば、共犯事件に関する調査においては、一台当たり10万円から100万円で販売され、雇い主はこれを海外において200万円から700万円で販売していたとする供述が見受けられた。

 上記は、警察庁のwebサイト上にある『組織犯罪との闘い』に記載されている一部を抜粋したものだ。

 同サイトによれば「盗難グループ首謀」の下に「配下窃盗グループ」が配置され、それらをいくつも束ねる「日本側の首謀者」が海外側に引き渡していると見られている。

 東京都狛江市の高齢者殺害や、全国で多発した高給時計店の強盗など、世間を震撼させた事件の裏には「闇バイト」の存在がある。

 報道では特殊詐欺グループなどが高給を餌にSNS等で応募者を募り、やりとりに足のつかない「Telegram」や「Signal」などのアプリをインストールさせて、犯行の指示を行っていると言われている。

「これは私の想像ですが、宅配業者や設備業者を装った闇バイトの人がいたかもしれない。指定のクルマを見つけた人にはお金を渡すともちかけられて、駐車場内を撮影している可能性もありますよね。

 あとを尾(つ)けられていたかもしれないし、なんらかのリストが出回っていた可能性だってある。そういうのをひっくるめて、犯罪者がじつは身近にいて、ここに盗みに来たと考えただけで背筋が凍ります。」

 と、今回ランクルを盗まれた悟さんは語る。

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■盗まれたランクル 行先はなんとロシア!?

海外に運ばれたらもう終わり、為す術ナシである

 悟さんはその日のうちに窃盗をSNSに投稿し被害を訴えた。なかには「部品番号を見た」などの情報もあったが、どれも真実味の欠けるものばかりだった。

 妻の優子さんは以下のように語ってくれた。

「もう、諦めなくては……と思いかけていたところで、ランクルを買ったディーラーから『車体番号で見つかった』と言われて心臓が張り裂けそうでした。場所はロシアの港町。憤りを感じましたが、解体されてバラバラになっていないことがせめての救いでした。

 ランクルの盗難率が高いことは知っていましたが、まさか自分が当事者になるとは…という気持ちです。

 最近では凄惨な事件を頻繁にニュースで見ます。その映像からは窃盗犯も本気で盗みに入っていることが伝わります。私も夫も深夜でもコンビニに行くことがあるので、もしも犯行の最中に犯人と鉢合わせしていたら、殺されていたかもしれません。

 住まいは安全な地域ではあるものの、それでも盗られるときは盗られる。今回は完全にうちのランクルが狙い撃ちされました。

 みんなが寝静まったころに、犯人がこっそりと敷地内に入りクルマを盗んでいった事実に、言いようのない気味の悪さが残ります。」

 かつては街単位でくくられる印象が強かった窃盗も、今では”持っている人”がピンポイントで狙われる。優子さんの言うとおり、狙われたら最後、運が悪ければ命も失いかねない。

 表と裏の両面を行き来する犯罪者から見れば、私たち一般市民はいわゆる「表の世界」にのみ生息する弱い存在だ。そんな危険と隣り合わせの社会で生きていることを頭の片隅に忘れてはならない。

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