今回のワンポイント確認は、「安全安全ってアピールするけれど、レイバックって特別すごいの?」である。

◆スバルを運転していつも感じるのが、後輪の活躍ぶり

相変わらず、ボンネットに穴が開いているスポーツ魂の血統を引き継ぐレイバックである。この穴だけで、猛々しいというか、雄々しいというか、スバルのゆずれない信念のようなものを感じてしまう。「不器用ですから」というスバル技術者のつぶやきが、この穴から漏れ出しているようだ。

スバル レヴォーグ レイバック

1.8リットル+ターボのエンジンを、ATのような段がない、リニアトロニックと呼ばれる無段階のCVTで動かすと、滑らかで力強い加速を味わえる。リニアと名前に付けられているとおり、アクセルペダルの踏み込みに対して、まさにリニアであり、エンジン音の無駄な抑揚がなく一直線でシンプルに加速していく。しかも、重い。ずっしりと足応えのある踏み心地なのである。

スバルを運転していつも感じるのが、後輪の活躍ぶりである。ハンドルを切ると、前輪が向きを変えたのと同時に、後輪がぐいぐいと行きたい方向に押してくる。このところ、同じように感じるクルマもちらほらあるけれど、スバルのそれは格が違う。200%増し(筆者の感想です)で明らかに押してくるのだ。そこから生まれるのは、コーナーを曲がるときの安心感だ。クルマの挙動が安定しているがゆえの、包まれるような積極的な安心感である。

◆走り出して5分でわかる、スバルの安全技術

スバル・レヴォーグレイバック

さて、このところ、軽自動車に至るまで衝突被害軽減ブレーキ等々の自動運転技術が採用され、差別化ができなくなってきた。しかし、相変わらずスバルは、安全技術を前面に打ち出してアピールをしている。そんなに言うほど違うのか? という疑問を持つ人も少なくないだろう。しかし、走り出して5分。その違いは明らかだった。

前方に障害物があるときに警告~ブレーキをかける衝突被害軽減ブレーキこそテストはできなかったけれど、走り始めるといつの間にか、数々の安全装置に守られていることが伝わってくる。車線をはずれそうになると警告し、ハンドルをくっともどそうとする。カーブの前にくると、速度をすっと低くしてくれる。信号待ちしているときは先行車が発進してもぼーっとしていると教えてくれるし、先行車がいなくても、やっぱり教えてくれる。

スバル レヴォーグ レイバック

こうした数々のアシスト機能が、実にさりげなく上手に組み合わさり、的確に作動してくれるのである。なんだこの守られ感は。まるで運転のうまい彼氏がとなりで逐一教えて、ハンドルに手を添えてくれている気分である。この感覚、ほかのクルマたちとぜんぜん違うぞ?

さらに、守られ感を増幅させているのはシートだ。シートの形状が、座面はもとより背もたれの形状が、とんでもなくいいのである。ほどよい硬さでひたっと背中にはりつき、包み込むようにしながら必要以上に出しゃばらず、しっかりと頭まで全体を支えてくれるのである。いい! 地球上のすべてのクルマにこのシートを採用してほしいくらいだ。

◆「私を守ってくれている感」が半端ない

結論。ワンポイント確認の「安全安全ってアピールするけれど、レイバックってすごいの?」は、レイバックに搭載された安全装置の数々がワンチームとなり、私を守ってくれている感が半端ない。安全装置だけでクルマを買いたくなるほどの衝動に駆られる一台である。

スバル レヴォーグレイバック

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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