サブコンはサブコンピューターの略。スロコンはスロットルコントローラーのこと。どちらも以前からあるチューニングパーツだ。どんな効果を持つかというと、まずサブコンはエンジンコンピューターに使用するパーツ。

◆進化を続ける“コンピューターチューニング”の歴史とは

40年ほど前のクルマは、スロットルバラフライをアクセルペダルで引き上げるとエンジンに空気が送り込まれ、その空気はキャブレターを通過するときに負圧でガソリンを吸い出して混合気を作っていた。その混合気がシリンダー内部に入って点火され、燃焼していた。

それが、インジェクション化によって大きく変わった。燃料に圧力を掛けておいてインジェクターからエンジンのポートにガソリンをエンジンに噴射するようになった。そこで必要になったのがコンピューター。エンジン回転数や負荷によって、インジェクターからどれだけの燃料を噴射するかを設定するのだ。

チューニングの世界ではマフラー交換によって効率が良くなったり、エンジン排気量が変わるとか、カムシャフトが変わる、タービンを変えるなどチューニングを施した際に、このコンピューターのデータを書き換えて最適な燃料の調整する必要がある。また、なにもチューニングしなくても、燃費や排ガス規制に合わせてガソリンの噴射量が絞られている場合があり、それを最適化することでもパワーアップができる。それがコンピューターチューニングと呼ばれるもの。

◆フルコン/サブコン/純正書き換えによる違いとは

コンピューターチューニングにも大きく分けるとフルコン、サブコン、純正書き換えと3種類が存在する。一番手頃な純正書き換えは、ノーマルコンピューターの中身を書き換えるもの。だが、自動車メーカー側で推奨はしてないのでデータにはプロテクトがかかっている。それを解析して書き換えるチューニングだ。

対して、そんな面倒なコンピューターならごそっと異なるものに変えてしまえというのがフルコン。フルコンピューターのことで純正コンピューターを外して、代わりにレース用やチューニング用にECU(ENGINE CONTROL UNIT)を取り付けるのだ。レース用ではMoTeCなどが有名。チューニング用では日本のHKS製であるF-CON V Proや、オーストラリア製のLINK ECUなどが知られている。

フルコンはなんでもできのが魅力。アクセル踏みっぱなしでシフトアップしてもオーバーレブしないようにしたり、シフトダウン時にヒール&トーしなくてもエンジン回転が合うようにもできたりする。しかし、費用が高くセッティングも大変。一般的には取り付けとセッティングだけで30万円以上と言われている。

そこでサブコンの出番である。こちらは純正ECUから発せられた信号を、エンジンに行く前にインターセプト。サブコン内部でその信号に補正を加えてからエンジンに信号を送る装置だ。

魅力は取り付けが簡単でコストも安い。10万円以下で導入できる。しかし、フルコンほどの拡張性はないので、90年代から2000年代にはライトチューン時の燃調補正として使われたが、近年は純正ECU書き換えチューンがメインストリーム。もっと拡張性を求めるならフルコンという流れだった。

ところが最近は以前にも増して純正ECUのプロテクトが複雑化していて、なかなか解析ができない車種が増えている。そこで再びサブコンが脚光を浴びているのだ。

サブコンであれば純正ECUが解析できなくても問題なし。ある程度補正は加えられるので、パワーアップも可能。というか、純正ECUが解析できない場合、サブコンでのパワーアップ以上の結果が得られないのだ。

そういった事情もあり、トヨタ『GRヤリス』ではサブコンでのパワーアップチューニングが一般的。最近になって純正ECU書き換えも可能になったが、サブコンでもある程度効果があり、費用対効果を考えるとサブコンを選ぶユーザーも多い。2020年代に入り、サブコンチューンは終りを迎えるかと思われていたが、まさかの大逆転で大きなシェアを獲得しているのだ。

コストも安く、ノーマル復帰も簡単なので、車両を売る際や、ディーラーに入庫する際にノーマルに戻すことも可能。そういった魅力もあり、サブコンチューンが再び注目されているのだ。

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