現行デリカD:5がデビューしたのは、2007年1月のこと。2018年11月のビッグマイナーチェンジで大改革がなされたが、すでに17年が経過したロングセラーモデルだ。そのデリカD:5の次期モデルのコンセプトとされているのが、昨年のジャパンモビリティショー2023で三菱が出展した「MITSUBISHI D:X Concept(ディーエックスコンセプト)」だ。

文:吉川賢一/写真:MITSUBISHI

その佇まいは紛れもなく「デリカD:5」

 「絶対安全大空間×絶対走破性」を理念とし、三菱のイメージであるタフさや無骨さに、先進性が組み合わせられたオールラウンダーミニバンである「D:Xコンセプト」。TシェイプのヘッドライトやLED前照灯、インテリアなど、コンセプトモデル特有の「荒さ」はあるものの、その佇まいは紛れもなく「デリカD:5」だ。超先進的なスタイリングは機能的にもよく考えられている。

オフロードテイストに溢れるデザインのD:Xコンセプトは、プラグインハイブリッド車とのこと。ということは、次期デリカD:5は三菱得意のPHEVか!??

 なかでも興味深いのがインテリアだ。ワンボックスタイプの室内には、3列の6座シートが据えられており、2列目と3列目は、オットマンも備わる豪華な独立型シート。助手席の人が後席乗員と会話を楽しむことを想定し、助手席シートは180度回転することも可能にしている。

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現行デリカ同様のボディ骨格を採用、三菱得意のPHEVでS-AWCも搭載!!

 驚いたのが、フロントウィンドウの下部の「シースルーボンネット」だ。助手席側のダッシュボードの足元まで配置した液晶パネルに前方の映像が映されるため、ドライバーが運転中に車両前面のすぐ下を確認することができる。これまでにも、路面の映像をインフォテイメントモニターに表示するタイプのクルマはあったが、D:Xコンセプトでは投影面積が圧倒的に広く、また直感的に分かりやすい。ゴツゴツした岩肌や未舗装の荒れ地などを走る際に便利な機能だ。

 ボディ骨格には、環状骨格構造「リブボーンフレーム」の強化版が投入されており、現行デリカD:5のいいところがしっかりと踏襲されている。バッテリーEVではなく、プラグインハイブリッド車である点も注目すべきポイントだ。三菱が得意とする電動4WDシステム「S-AWC」も搭載されているそうで、こうした情報をつなぎ合わせていけば、次期デリカD:5の概要はみえてくる。もちろんこのままのデザインで登場することは考えにくいが、そう遠くないうちに三菱からアナウンスがあるのではないだろうか。

ワンボックスタイプの広い室内空間には、3列シートが据えられている(6人乗り)。なお助手席シートは180度回転することができ、後席乗員と会話を楽しむことも可能だ
オフロード走行で非常に助かるのが、フロントウィンドウの下部のシースルーボンネットと、助手席側のダッシュボードの足元まで配置した液晶パネルに前方の映像を映し、車両前面のすぐ下が確認できるシステムだ

D:Xコンセプトは、次期デリカD:5だけでは終わらない!??

 ただ、D:Xコンセプトからは、もうひとつモデルが誕生すると筆者はみている。三菱は2024年5月、北米における5か年事業計画「モメンタム2030」を発表したが、そのなかで、北米市場に今後投入されるであろう新型モデルのシルエット画像が公開され、D:XコンセプトにそっくりのTシェイプのヘッドライトの背高なモデル(おそらく次期デリカD:5)の後方に、現行アウトランダーや現行エクリプスクロスとはイメージが違う、大型SUVの姿があった。横一文字のヘッドライトデザインからは既存車である可能性が低く、筆者はこの大型SUVは、次期パジェロなのではないかと考えている。

三菱自動車のノースアメリカが発表した「モメンタム2030」中央は次期デリカD:5に見えるが、左後ろにいる一文字タイプのヘッドライドの大型車が何かは不明

 デリカとパジェロは元々、プラットフォームを共用した兄弟車でもあり、新型デリカD:5に続いて新型パジェロが誕生するということは、十分に考えられる。「デリカミニ」のヒットや「トライトン」の日本復活でいま話題の三菱が、次は、新型のオールラウンドミニバンの登場と名門クロカンSUVの復活で攻勢をかける!!

日本でも受注殺到している新型トライトン。新開発の2.4Lクリーンディーゼルエンジンを搭載している。標準グレードのGLSが税込498万円、上級グレードのGSRが税込540万円

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