近隣で働く人々、住人の胃袋を掴んで離さない新富町ランチ。銀座よりも量良し、味良し、そして何より、お得に美味がいただけます! BCの姉妹メディア『おとなの週末』が選んだ今注目のランチ4選をご紹介しよう。

撮影/小島昇(ドリフ、やよい麺、仲宮里)、鵜澤昭彦(なすび)、取材/菜々山いく子

■香りもご馳走 昼から炭で炙る焼鳥重『焼き鳥ドリフ』

『焼き鳥ドリフ』ドリフランチ 1200円 この日はモモ、フリソデ、ボンジリとハツの4本。シンプルな塩味によって鶏の旨みをストレートに感じられる。そぼろも身をいったん炭で炙ってから挽き、調理することで香ばしさ満点だ

 通りを歩いていると食欲をくすぐる香りがぷ~んと鼻先に届いた。その出どころがこちら。なんと昼でも夜と変わらず紀州備長炭を熾し、1本ずつ丁寧に炙った焼鳥を種類豊富なお重や丼で出している。

 その味といったらもう!中心まで熱が伝わったギリギリを見極めて炭から下ろした身はぷっくりと盛り上がり、適度な歯応えから肉汁と共に旨みが炸裂。

 日替わりの4本をオール塩味で焼き上げた「ドリフランチ」はたっぷりの大葉も入って、香ばしさと爽やかさのコントラストにご飯がぐいぐい進む。脇に添えたスクランブルエッグと甘じょっぱい鶏そぼろも名おかずだ。

 さらにがっつりいきたい時には、串のほかに牛カルビも盛り込んだ「スペシャル」で決まり!

『焼き鳥ドリフ』

[住所]東京都中央区新富1-10-11
[電話]03-6280-5189
[営業時間]11時15分~13時半頃、17時半~21時頃LO(昼夜共に串が無くなり次第終了)
[休日]土・日・祝
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅3番出口から徒歩3分

■腕利き料理人が作る和定食はどれも大満足の味『新富町 なすび』

『新富町 なすび』鯛の漬け茶漬け 1500円 薄口醤油をベースにしたタレに数分だけ漬け、鯛の旨みや風味を引き出す

 上質な魚のランチを求めるならば、この店の扉を開くべし。店主・佐藤さんは料亭や割烹で経験を積んだ腕前確かな料理人。夜は鮮魚の煮付けを筆頭に、旬を捉えた正統派の和食でもてなしてくれる。

 そんな店の昼の名物が新鮮な鯛の身をヅケにしたご覧の定食。最初はそのまま脂のりのいい身を白飯と共に堪能したら、次は卵かけご飯にしてもうひと口。最後は澄んだ熱々のダシをかけて鯛茶漬けと、3段階の変化を楽しめる。

 他にもこっくり味が染みた煮魚定食や、肉ならホロホロに煮込んだ牛タン定食などランチのどれもがスター級。さりげなく添えられた小鉢の上品な味わいや、ふっくら炊かれたご飯、ダシの効いた味噌汁と細部まで職人の技がきちんと込められている。

『新富町 なすび』

[住所]東京都中央区新富2-10-10 ネスト1階
[電話]03-6222-9939
[営業時間]11時半~14時(13時45分LO)、17時~22時
[休日]土
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅3番出口から徒歩2分

■老舗が奇跡の復活 ピリ辛スープの個性爆発スタミナ麺『東京築地やよい麺』

『東京築地やよい麺』やよい麺 1000円 野沢菜のシャキッとモチモチの麺、ふたつの食感が響き合う。汁なしもあり

 かつての店名は『築地やよい軒』。初代が大切に40年間守り続けた店だった。高齢のため閉店を決意したところ、縁あって味を引き継いだのが山本さん。名物メニューの「やよい麺」を店名に付けて復活を果たした。その味はまさしく唯一無二。

 初代が長野出身だったことから野沢菜漬けを使い、豚肉と七味で炒めたそれをどっさり乗せる。具材からスープにとけ出す旨みやコク、そして辛さが絡み合い、ひと口で虜になるパンチ力。

 特注の麺は縮れの強いワシワシの剛麺でコシの強さも小麦の香りも圧倒的だ。これから先も長くこの味を楽しめると長年のファンも歓喜している。

『東京築地やよい麺』

[住所]東京都中央区築地2-1-17 陽光築地ビル地下1階
[電話]03-3543-0798
[営業時間]11時15分(土11時半)~14時LO、17時~20時45分LO(土20時半LO)
[休日]日・祝
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅1番出口から徒歩1分

■財布に優しいボリューム満点の沖縄ランチ『仲宮里(なかみやざと)』

『仲宮里(なかみやざと)』ソーキそば スパムおにぎり2個セット 1100円 ソーキの旨みでスープの味わいはさらに深まる。単品は950円

 スープをひと口飲めば、すっきりとしているのに味が深く、カツオ節の香りがふわりと鼻から抜ける。上に乗っているソーキも箸でほぐれるほど柔らかく煮込まれていて、しかもゴロッと大きな塊が2個も。

 図らずも新富町で本場を超える味に出合ってしまった。こちらは開店から25年になる沖縄料理店で、町でも古株の1軒だ。

 ランチはどれもボリューム満点&リーズナブルで界隈のビジネスマンの胃袋をきっちり掴んでいる。ちなみに豊洲から仕入れる質の高いネタを乗せた海鮮丼もおすすめとか。夜ともなれば琉球民謡が流れる陽気な風情。旅した気分でありっ、カンパイ!

『仲宮里(なかみやざと)』

[住所]東京都中央区新富1-11-3
[電話]03-3552-7733
[営業時間]11時半~14時LO、17時半~23時(22時15分LO)
[休日]日・祝
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅5番出口から徒歩4分

■静寂の先に喧騒が待つ 美味をもとめて向かう街

新富町駅から八丁堀方面への路地には飲食店がポツポツ。そこへ吸い寄せられるように入っていく

 東京在住者や職場がある人にとっても、この町を訪れる機会はそう多くはないだろう。高層マンションやビルが立ち並び、その合間に佇む古びた一軒家。住宅地でもありオフィス街でもあり、どこか下町らしい風情も残す町だ。

 地名の由来は、明治維新後に京都の島原遊郭から名を取った“新”島原遊郭が置かれたことに始まる。その後、隣接する大富町の一部が編入され新富という地名が生まれたそう。

 西は銀座、南に築地、北の八丁堀と繁華街に囲まれながらも、夜の通りを歩いていると、すれ違う人の姿もまばらで閑散とした印象を受けるかもしれない。

 しかしポツリ、ポツリと点在する飲食店の扉を開けてみれば、どこから集まってきたのか不思議になるほど大勢の客で賑わっていた。そう、新富町は食いしん坊たちがお気に入りの店を目指してわざわざやってくる町なのだ。

『おとなの週末』/2024年5月号より
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