2024年7月29日、鹿児島県指宿市を拠点とする株式会社福尚は、三菱ふそうトラック・バスが開発した新型「eキャンター」ダンプを導入した。EVダンプ小型トラックとしての納車は国内初。今後、EV特装車の普及に弾みをつけられるのか!?

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/三菱ふそう・フルロード編集部

国内初の納車が決まったEVダンプ小型トラック

福尚が導入したeキャンターベースのEVダンプ小型トラック

 このほどeキャンター・ダンプを導入した福尚は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」に指定される鹿児島県指宿市を拠点に、建設サービス業を生業とする企業。

 同社は指宿市で積極的な社会・地域貢献活動も行なっており、SGDs(持続可能な開発目標)や地域活性化の取り組みの一環として今回eキャンターの導入を決定した。

 導入車両は、一充電当たりの航続距離116km(国土交通省審査値)のSバッテリーを搭載したGVW6トンクラスの標準キャブモデルをベースに、架装を特装系大手の新明和工業が担ったダンプ車両。今後、指宿市内での建設サービス業務で活用される見込みだ。

新明和工業製のEVダンプ。ダンプアップの際にはエンジン音などのノイズがないぶん「ウィーン」という音が際立つが、ディーゼル車と比べれば圧倒的な静粛性を実現している

 走行時に排出ガスを一切出さないゼロエミッション車両のeキャンターは、電気駆動により騒音や振動が少ないため、早朝や住宅地などでの周囲の環境に配慮できるとして、特装車としては一足先に塵芥車の導入・実運用が始まっている。

 いっぽうEVダンプ車でも、荷台の上げ下ろしの際にエンジンを回転させる必要がなく、ディーゼルと比較して音が静かで、この静寂性により、建設や工事などにおいて、住宅街などで周囲の騒音や環境に配慮した作業を可能とする。

あらためて新型「eキャンター」の特徴は?

 日本の小型トラック(ディーゼル)は、キャブのサイズ、シャシーフレーム、エンジン、ホイールベース、駆動方式、最大積載量、車両総重量(GVW)などの組み合わせで用途やニーズに応じた車型が細かく展開されている。

 いっぽう量産化が始まったばかりの小型EVトラックでは、ディーゼル車と比較するとまだまだそのバリエーションは少ないが、eキャンター新型モデルでは標準キャブ〜拡幅ワイドキャブ、ホイールベースは標準ボディ(2500mm)〜超超ロングボディ(4750mm)まで幅広い車型をラインナップ(国内では28車型)した。

福尚が導入したEVダンプでは最大積載量3000kgを実現している

 また大きな動力が必要な上モノ(架装部)に対し、駆動用バッテリーから電力を得てモーターで油圧ポンプを駆動させる、動力取り出し装置「ePTO」をオプションとして設定したことで、特装車への選択肢も拡大。

 特装車架装としては、すでに納車も始まっている塵芥車(ゴミ収集車)のほか、ダンプ、車載車、脱着ボディ、リアクレーンなどにも対応している。

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