2024年3月30日、FIAフォーミュラE世界選手権の第5戦「東京E-Prix」が開催された。このレースは日本で初めてとなる大規模な公道レースとなる訳だが、現地ではモータースポーツの新たな可能性を感じることが出来た。これまでの日本のモータースポーツに無かった新たな側面を紹介する。
文:西川昇吾/写真:日産
■駅を出たらすぐサーキット!
公道レースという点もそうだが、一番大きなポイントと感じたのはコースと駅がとても近いことだ。日本でモータースポーツ観戦をするとなると、山奥にあるサーキットへクルマで移動するのが基本だ。強いて言えば鈴鹿サーキットが公共交通機関でアクセスできるかな? といった具合だろう。
しかし、東京ビッグサイトを中心としたストリートコースでの観戦は、都市部からの公共交通機関でのアクセスも良好で、駅から歩いて観戦エリアまでたどり着くことが出来る。これまで日本でモータースポーツを観戦してきた人からすると、これだけでもかなり違うと感じることだろう。
■屋内でイベントが楽しめる
また、ビッグサイトをコースの中心としたのも大きなポイントだ。当日はE-Tokyo Festival 2024というZEVに絡めたイベントが開催されていたが、このような別のイベントを同時に開催することで、これまでモータースポーツにそこまで興味がなかった人も足を運ぶことが出来る。
反対にモータースポーツを目当てにした人が、別のイベントやコンテンツを見る。新規ファンを獲得できるチャンスが増えることになるのだ。
そして、ビッグサイトの東展示場4~6ホールには「アリアンツ・ファンビレッジ」が設けられていた。このエリアは今回は無料で訪れることが出来た。
このホールは観戦エリアへのアクセス通路となっていて、観戦する観客は基本的に通るポイントとなっている。このエリアには各種体験コンテンツやメーカーブース、物販や飲食の出展などがあった。
日本のモータースポーツで言えば、サーキットにあるイベント会場のような特性になっているが、ここが屋内になっていて日差しや暑さ・寒さを気にせずにイベント広場を利用できるのはとても良いと感じた。疲れたらここで休むことが出来るし、雨風を気にせず飲食をすることも可能だ。
また、このエリアにはパブリックビューイングも用意されていた。当然パブリックビューイングは無料で観戦することが出来た。レース中は展開によって歓声が上がる場面もあり、無料で観戦しながらライブ感のある雰囲気を楽しむことが出来た。
これまでモータースポーツを実際に観戦したことない人にとっても、その魅力を手軽に感じることが出来るエリアとなっていた。
音がしないため迫力がないことや、BEVが本当に環境にいいのか? といったことを理由に、否定的な意見もあるフォーミュラeだが、今回の東京E-Prixを振り返ると、モータースポーツの新たな可能性を広げるという意味では実に有意義なイベントであったと思う。
駅直結で、屋内エリアもある。そのような特徴がモータースポーツ観戦のハードルを良い意味で低くしていて、新たなイベントやコンテンツ、ビジネスが生まれる場になると感じることができた。2025年以降、東京E-Prixがどのように発展していくのか注目だ。
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