今アメリカを中心とした海外では日本車がブームだ。そう聞くと日本の1990年代スポーツカーをイメージするかもしれないが、軽トラックがブームとなっているのだ。ビッグなものが好まれるアメリカで、サイズもパワーも小さな軽トラックがなぜ好まれるのだろうか?

文:西川昇吾/写真:加藤博人、スズキ、ダイハツ

■アメリカにはない小さなトラック

カリフォルニアナンバーを付けているホンダ アクティトラック。アメリカでは日本の軽トラがちょっとしたブームなのだ

 軽トラックがアメリカで人気の理由、それはアメリカにないものだからだ。アメリカで荷台のついたトラックと言えば大きなピックアップトラックがメジャーだ。そのような環境の中で、アメリカ人にとって軽トラックはとてもユニークな存在に見えるそうだ。

 また、あのボディサイズでありながら350kgも積載できるのもアメリカ人にとっては驚くポイントとなっているそうだ。

 アメリカには類似車種が居ない小さなトラック、そして小さいながら頼もしい積載性能。このようなポイントがアメリカ人にウケていると言える。

 ではアメリカで軽トラックはどのような使われ方をしているのだろうか? もちろん、小さくてカワイイ、面白いといったようなファッション的な要素で食いついている層もいるとのことだ。ただ、この小さなトラックを実用として使っていることもあるとのこと。

■アメリカの農家にも人気

米国カスタムカーショーで展示された軽トラ。カスタムして楽しむ需要もあるのは日本もアメリカも同様だ

 それは広い敷地の農家や牧場などで使用されているケースだ。日本で農家に好まれている軽トラックは海の向こうでも農家に好まれていたのだ。広い農場などで作業用やパトロールといった用途に使われることが多い。

 アメリカでの中古車の話題となると「25年ルール」が取り上げられることが多いが、広い私有地である農場の中で使用する分には、このルールが関係ない。小さくて機動性が高く、積載性能もある。そのためアメリカの農家の実用車としても軽トラックは人気になっているのだ。

 また右ハンドルの国で農業が盛んなオーストラリアでも人気となっているそうだ。これはオーストラリアの左ハンドルに対する輸入規制が厳しいことも背景にある。

■最近は軽トラックも盗難対象に

写真のダイハツ ハイゼットやスズキ キャリイなどが盗難の対象になっているという

 このような海外での軽トラック人気の背景もあってか、現在では軽トラックの盗難が急増しているというニュースもある。盗難台数のランキングを見るとトップ10にハイゼットやキャリイがランクインしているのだ。

 人気ということも大きな理由ではあるが、イモビライザーを始めとした盗難防止装置が標準で装着されているような高価格帯のモデルと比べて、軽トラックは安価で構造がシンプルなのも背景として大きいだろう。

 これからは軽トラックも盗難対策が必要な時代になってきているのだ。

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