「例年にない酷暑」「50年に一度・100年に一度の猛暑」という言葉を耳にするようになった。それほどまでにここ数年の暑さはひどく、異常とすら感じられる。こんな酷暑で、エアコン無しのドライブなんて考えただけでゾッとするが、エアコン使用で燃費が悪くなり、かさんでいくガソリン代を見てもゾッとするものだ。そこで、快適とエコの中庸を取った、夏場に使えるエコ運転を考えていきたい。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーweb編集部・AdobeStock(トップ画像=Vitali@AdobeStock)
■まずは窓を開け、エアコン設定25℃!
お日様がカンカン照り日は、駐車場に止めてあるクルマの中がとんでもないことになっている。直射日光を浴び続けた車内は、室温50℃~60℃ということも珍しくはない。
この状態のクルマに乗り込み、エアコン無しで走り出すのは危険すぎるので絶対NGだ。適切に冷房を使わないと、熱中症になり事故を引き起こす原因にもなる。
ただし、車内がエアコンで冷えるのを呆然と待つのも少し違う。この動き方は、全くエコではないからだ。
熱気ムンムンの車内に入ったら、まず行うことは窓を開けること。可能であれば、ドアというドアを全部開けてほしい。
車内の換気を行い、熱気を外に出して、車内の温度を外気温と同じにすることが、エコ運転の始まりだ。
熱気が逃げたら、窓を閉めてエアコンを入れる。基本的にはクルマのオートエアコンに任せるのが最も効率がいいだろう。エアコンの設定温度は25℃にして、内気循環で一気に車内を冷やしていこう。
エアコンの使用は、間違いなく燃費に悪影響を及ぼすが、効率よく使うことで、悪影響は最小限に食い止められる。
最もやってはいけないのが、熱い空気を外に出さずに冷房を使うことだ。エンジンスターター付きのクルマに乗っている方は、夏のエンジンスターターの作動で、あまり車内の温度が下がらないのを知っているだろう。
60℃の空気と30℃の空気、どちらが早く冷えていくかと問えば、皆が30℃の空気と答えるはず。ドアを開けて換気するか、エンジンスタート後は窓全開で走り出してしまうのが、今できる適切なエコ運転だ。
エアコンは「使わない」ではなく、「効率よく使う」が時代に即した答えである。
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■必要じゃない荷物は極力降ろせ!
夏のエコ運転を行うなら、クルマに積んである余分な荷物は全て降ろしてほしい。
これにはクルマを軽くするという意味もあるが、荷物を降ろす本当の目的は、荷物が少ない方が冷房効率は格段に上がるからだ。
車内が暑くなるということは、クルマの中にあるモノも、すべからく熱を帯びるということ。空気のように外へ排出することが難しい荷物の熱は、その荷物が冷えるまで常に車内へ放出されている。
最近流行りのミニバンやSUVは、荷室と乗員のスペースがつながっていることが多い。
つまり、ダッシュボードのエアコン吹き出し口から冷たい空気が出ていても、クルマの後ろに積まれた荷物からは、熱気が放出され続けて、冷房の効きを妨げているというわけ。
特に黒いモノや金属のモノは、熱の溜まり方が尋常ではないから積みっぱなしにするべきではない。加えて、高温により積んでいたものが変質することも防げるから、夏は身軽なクルマで出かけてほしい。
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■ハイブリッド車は電気を作りエアコンの動作にまわすこと
エアコンのコンプレッサーを、駆動用バッテリーの電力で回すタイプのハイブリッド車では、走行中に駆動用バッテリーをどれだけ充電できるかが、夏のエコ運転のカギとなる。
このタイプのハイブリッド車では、エアコンの使用が燃費に与える影響が通常のガソリン車よりもかなり小さくなるのだ。ただし、
それは駆動用バッテリーからエアコンへ電力が供給されている場合だけ。バッテリー残量が少なくなりエンジンが駆動したら、普通のガソリンエンジン車と同じ状態になってしまう。
そこで夏場は特に意識してほしいのが、ブレーキの踏み方だ。
ブレーキと同時にモーター回生(充電)が行われるのだが、一気に大きな踏力でブレーキをかけてしまうと、運動エネルギーが全て回生されず、一部が熱エネルギーになって逃げてしまう。これでは充電効率が悪い。
早めのアクセルオフと静かで緩やかなブレーキングが、夏のエコ運転には必要だ。燃費と聞くとアクセルの踏み方を意識することが多いが、夏はブレーキの操作に意識を置いてほしい。
暑さによる燃費の悪化は致し方ないが、簡単に対策はできる。すこしでも燃費の良い運転を心がけて、懐も暖まる夏にしていきたいものだ。
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