自動車メーカーが絶対にやってはいけないモノの1つが不正問題。それが今年は特に頻発した。昨年のダイハツ認証不正問題に続きトヨタ自動車本体の不正問題。さらに日産は下請法に関するゴタゴタや、ホンダの先代車種の数百万台に上るリコールなど問題は山積みだ。
※本稿は2024年7月のものです
文:桃田健史/写真:トヨタ、日産、ホンダ ほか
初出:『ベストカー』2024年8月10日号
■自動車メーカーの姿勢が問われた上半期
2023年末のダイハツによる、型式指定の申請に伴う認証不正をきっかけに、日本自動車産業界全体に対して、ユーザーと社会の厳しい目が向けられた上半期だった。
そのなか、豊田自動織機に次いでトヨタ本体の認証不正が明るみに出た衝撃は大きく、ランクル250など魅力的なモデルを多種多様にグローバルに展開し、マルチパスウェイでの脱炭素に向かう企業姿勢に水を差した。
本稿執筆時点では、グローバルで人気が高いヤリスクロスなどが、国土交通省の指導により生産停止の状態にあり、トヨタはグループ全体での認証不正に対する再発防止策の徹底が求められる。
■下請法で揺れた日産
日産については、いわゆる下請法に対して一部メディアから厳しい指摘があったことをきっかけに、日産と部品メーカー、および部品メーカー同士の購買における正当性について深い議論となっている。
日産によれば、第三者による検証では法的な問題はないとしているが、部品メーカー各社からの日産に対する不満や意見があることは事実だと日産側は認めている。こうした企業としてのあり方が、ブランドの信頼性に対して大きく影響することは間違いない。
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■先代車種のリコールが数百万台に上ったホンダ
ホンダでも認証不正問題が明るみに出た。そのほとんどがすでに生産が終わったモデルに対するものだったが、対象車の数はグローバルで数百万台レベルという大規模なもの。認証プロセスに対して本年内にはDX化を完了させるとしている。
故意による不正を防ぐことはあたりまえの話として、社員教育や部署間での相互チェック機能など、多面的な対応が必要となるだろう。
こうして上半期を振り返ってみると、電動化、脱炭素、コネクテッドといった技術論や、サブスクやエネルギーマネージメントなど新しいサービス領域の話題よりも、企業として自動車メーカーが今後どうあるべきかという観点で、ユーザーが自動車メーカーに対して厳しい目を向けていることがよくわかる。
認証不正については、国や自工会を含めた総括的な再発防止が求められるなど、日系各社の未来に向けた抜本的な変革が必須である。
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