ファブリカコミュニケーションズ、丸紅プラックス、東芝は8月23日、共同で中古電気自動車(EV)の電池の状態を診断する実証事業「中古車EV電池診断プロジェクト」を開始した。
東芝が保有する電池劣化診断技術を用いて、2022年4月から評価指標の確立に取り組んできた3社は、このたび試作版を完成させた。この指標を、ファブリカコミュニケーションズが運営する中古車情報サイト「車選びドットコム」に掲載する。
このプロジェクトの背景には、EVが「脱炭素化」の主役として2030年の温室効果ガスの削減目標に向けて世界的に急速な市場拡大が予想されることがある。中古EV市場もこれに伴い成長が見込まれるが、中古EVの電池状態は評価が難しいという課題がある。本プロジェクトでは電池の残容量に加え、電気化学に基づいた指標を用いて電池の内部状態を可視化し、劣化度を定量的に判断する指標の確立を目指している。
3社は、短時間での電池測定・診断方法の確立に取り組んできた。また、株式会社電知の機材提供などによる技術協力のもと、短時間での正確な診断を実現する測定器の小型化に向けた技術を開発してきた。一方で、様々な形でのフィールドテストを実施し、市場導入に向けた要件定義および仮説検証を重ねてきた。
今回、実用に向けた市場実装を見据えたPoC(概念実証)を実施する。本プロジェクトでは、ディーラーでの電池診断結果を中古自動車販売サイトに掲載することで、購入者に信頼性の高い情報を提供する。これにより中古EV市場の取引活性化と信頼性向上を推進する。
今後半年間にわたり、診断装置を用いて中古EVの電池状態を計測し、継続的に販売サイトへ掲載していく予定である。この取り組みを通じ、EV市場全体の透明性と信頼性向上に貢献し、購入者と販売者双方にとって公平で健全な市場成長を支援することを目指す。
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