スーパー耐久レースに、GRヤリスと同じ直3ターボエンジンを搭載したGR86が参戦し、話題を集めています。もし、市販車のGR86にこのエンジンが搭載されたら、どんな乗り味になるのでしょうか? 86、GRカローラと乗り継いできた筆者が勝手に予想してみます。

文:ゴリ奥野(Team Gori)/写真:ゴリ奥野(Team Gori)、トヨタ

■S耐に参戦中のGR86に1.6Lの直3ターボが搭載されている

ST-Qクラスに出場しているORC ROOKIE GR86 CNF concept

 そのGR86とはORCルーキーレーシングからST-Qクラスに参戦している「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」(28号車)。カーボンニュートラル燃料(CNF)を使用する開発車両で、GRヤリスやGRカローラと同じ、1.6Lの直3ターボエンジンが搭載されています。

 同車両は2022年からスーパー耐久に参戦。当初は1.4Lが搭載されていましたが、今年から1.6Lに変更されています。モリゾウ選手が駆る、“水素カローラ”と同様、クルマの未来のために、開発が進められている車両です。

■もし市販車のGR86にこのエンジンが搭載されたらどうなる

トヨタ謹製の直列3気筒ターボエンジン、G16E-GTS

 ここからはガソリン仕様の直3ターボが搭載されたらという、仮定の話として書きます。ひとことで言えば、まったく性格の異なるクルマになるでしょう。

 なにせこのエンジン、トルクが37.7kgf・mと太く(GRカローラの前期モデル)、回転の上昇とともにパワーを発揮する自然吸気のGR86のエンジンとは別物。回さなくてもパワーが出る分、トップエンドのパワーを楽しむ乗り方から、トルクを楽しむ乗り方に変わるはずです。

 また、直3ならではのピストンの鼓動や猛々しいエンジン&マフラーサウンドもポイントで、ウルトラスムーズかつ澄みきったサウンドが特徴のFA24とは対照的。GR86を所有、あるいは乗ったことがある人は、新鮮に感じられるはずです。

 一方、水平対向エンジンの良さである低重心のメリットは減少するので、普通に考えれば回答性の良さは薄れるはず。ただ、このエンジンは縦向きに搭載されているので、フロントミッドシップ化や軽量化につながれば、それほどの変化はないかもしれません。いずれにせよ、水平対向版とは別のスパイスを効かせた痛快なFRスポーツカーになるのは間違いありません。

■3本出しマフラーやモード切り替えスイッチも搭載してほしい

GRカローラのみに装備されている3本出しマフラー

 直3ターボエンジンを搭載したGRヤリスやGRカローラに装着されている装備で、GR86にはないものが3本出しマフラー(GRヤリスは非装着)やドライブモードセレクトなどです。

 エンジン始動時の排気音の変化はGRカローラの濃いキャラクターをよく表現しているし、ドライブモード切り替えによるクルマの変化も楽しめるので、直3ターボ搭載の暁(?)には、ぜひ付けてほしい装備です。GRヤリスならではの装備としてインタークーラーのウォータースプレーもありますね。

 あれこれ予想していくと、かつての86GRMNのようなエボリューションモデルが頭の中に出来上がってきました。もし直3ターボのGR86が登場するとしたら、GRヤリスやGRカローラのようにギラギラしたモデルになるかもしれませんね。ぜひそんなGR86にお目にかかってみたいものです。

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