「モペット」という乗り物が人気だ。インターネットで(ものにもよるが)10万円ほどから手に入り、ペダルがついていることから、見た目は「ほぼ自転車」のモペット。しかしながら、モペットは、法律上は原付バイクと同じカテゴリ。知らずに使用してしまうと、とんでもないことになる可能性もある。

 モペットという乗り物についてご紹介しながら、知らなかったでは済まされない、モペットに関するルールについて、ご紹介しよう。

文:吉川賢一/アイキャッチ画像:写真AC_自然体/写真:Adobe Stock、写真AC、警察庁

モペットは自転車とは似て非なる乗り物

 二輪車に排気量50cc以下もしくは出力600ワット以下のエンジンもしくは電気モーターを搭載する、ペダルがついた乗り物であるモペット。正確には「ペダル付き原動機付自転車」といい、冒頭でも触れたように、ペダルと原動機(電気モーターのこと)、バイクのようにアクセルスロットルを備え、ペダルを用いず原動機のみでの走行が可能だ。ペダルと原動機の併用もできるし、原動機を用いずペダルのみで走行することもできる。

 似たような乗り物で、漕ぐ力をアシストしてくれる電動アシスト自転車(駆動補助機付自転車)があるが、こちらはあくまでアシストしてくれる乗り物。アシスト比率(人の力に対するモーター補助力)については、道路交通法施行規則によって明確に定められおり、10km/hでは最大で2。自走できてしまうモペットは、当然これを満たすものではなく、明確に電動アシスト自転車ではない。たとえペダルのみで走行していても、一般原動機付自転車の「運転」にあたる。

モペットは、「ペダル付き原動機付自転車」であり、いわゆる電動アシスト自転車とは全く別の乗り物(PHOTO:Adobe Stock_mmphoto)

ナンバーやライト、ウインカーなどの装備が必要なほか、自賠責保険への加入も義務

 「ペダル付き」とつくとはいえ、原動機付自転車であるモペットは、公道で使用するためには、まずなにより運転免許が必要だ。運転免許証は16歳未満では取得できないため、16歳未満の人はモペットを運転することはできないことになる。16歳未満の人にモペットを提供した人も違反となり、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される。

 そして車両には、ナンバープレートや、ミラー、前照灯、ブレーキランプ、方向指示器(ウインカー)の装備が必須で、自賠責保険への加入も義務。当然、車両として道路交通法を遵守する必要があり、(乗った状態で)歩道を通行することはできない。歩道を通行すると、(道路外の施設への出入りなどやむを得ない場合を除いては)3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる可能性があり、歩行者の通行を妨害したとされれば、反則金6,000円、違反点数2点が科せられる。さきほども触れたが、たとえ電気モーターを使わずに、ペダルを漕いでいたとしても、これらのルールを守らなければ、交通違反にあたる。

自転車とモペットでは、交通方法が根本的に異なる。これを理解している運転者が少なく、購入時に販売者へ説明するよう周知徹底させることが必要だ(画像は警察庁の資料より)
自転車ではないため、自転車専用道路を通行することもできない(PHOTO:Adobe Stock_ Naokita)

購入する際は、公道で使用できる装備が備わっているかを確認して!!

 インターネットの通販サイトでは、このモペットが「フル電動自転車」として販売されている(ものがある)。よく説明をみると、「運転免許が必要」とか「歩道は通行できない」と書かれてはいるのだが、見た目が見た目であるだけに、電動アシスト自転車の延長線上にある乗り物だと思って気軽に購入してしまう人は少なくないようだ。実際、警察による違反者への問いかけでは、「自転車と同じだと思っていた」という回答をする者が実に多いという。

 ただ、なかには知っていながら、必要な装備を搭載せず、ルールも守っていない人もいるとのこと。電動アシスト自転車に似ていることをいいことに、「ペダルを漕がなくていいから楽」として、原動機付自転車だと知りながら、自転車のように利用している人がいるそう。なかなかやっかいな乗り物だ。

 見た目で判別がしづらいことから、警察としてもなかなか取り締まりが難しいようだが、販売時には、当該車両が原動機付自転車に該当することを見やすいように明記することや、販売時には必ず原動機付自転車の交通ルールについて説明するよう、指導しているとのこと。

 購入する際は、公道で使用できる装備が備わっているかを確認してから購入するととともに、市区町村の役所で、身分証明書と印鑑、販売店から渡される販売証明書などを揃えてナンバープレートを申請、そして自賠責保険への加入もしたうえで、使用する際は、ヘルメットを装着して免許証を携帯し、しっかりと交通ルールを守って運転するようにしてほしい。「自転車に似てるから」「ばれないから」と気軽に使用してしまうと、もし万が一、事故を起こして他人にけがをさせてしまったとき、とんでもない後悔をしなければならないことになる。

購入する際は、日本の公道で使用できる装備が備わっているかを確認してから購入するとともに、ナンバーの申請、自賠責保険への加入もしっかりと!!(PHOTO:写真AC_自然体)

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