プロトタイプが先行公開されていたマイチェン版シビックがついに正式発売された。待望のMT専用モデルRSは惜しくも400万円切りならず約420万円! いっぽうe:HEVにはグレードが追加され、電動パノラミックルーフを備えた豪華仕様EXが登場した!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ホンダ、ベストカーWeb編集部
■音声による地図設定や温度調整が可能に
クローズドコースでの試乗記などが先行して報じられていたマイナーチェンジ版シビックが、ついに正式発売された。
その話題の中心にいたのは、マニュアル専用モデルの「RS」だろう。2024年初頭の東京オートサロンで存在が明らかになり、「今どきMT専用なんて素敵!」と絶賛されたモデルだ。
プロトタイプの試乗を通じて、その出来栄えの良さはすでに確認済みだが、問題は価格。「なんとか400万円切りを……」という願いは届かず、419万8700円というプライスに。
そもそも価格については、モデル全体が一律で20万円ほど高くなった印象を受ける。たとえばベースグレードのガソリンLXが324万600円から344万8500円に、ガソリンEXは359万400円が379万8300円といった具合。
■ハイブリッドに豪華グレード「EX」が追加!
その値上げの要因だが、目に見える要因は、グーグルのアンドロイド・オートモーティブOSの採用とホンダセンシングの進化という2点。
前者はアンドロイドオートよりも深い階層でクルマと連携している点が特長で、スマホを接続しなくても、グーグルアシスタントやグーグルマップが使用できる。さらにナビの目的地設定やエアコンの温度調整も、音声で行うことが可能になった。
後者のホンダセンシングでは衝突軽減ブレーキの作動領域を拡大したほか、急アクセル抑制機能を追加、さらにACCの制御がより自然な振る舞いにレベルアップした。直進時および旋回時のレーンキープアシスト性能も高まっているから、ロングドライブの快適性もアップしていると予想する。
グレード構成の点では、これまでLXだけだったハイブリッド(e:HEV)に豪華仕様のEXが追加された点もニュース(430万7600円)。こちらはグレー内装や電動式パノラミックルーフなど、経済性と快適性を併せ持った点が魅力といえる。
■北米仕様のSiがお手本?
新型シビックの見た目の変化だが、フロントマスクの変更がもっとも大きい。バンパー下部の開口部が左右に広がり、代わりにフォグランプが姿を消した(オプションで装着可能)。ガバッと開いた口元はどこかダースベイダー卿のマスクを思わせる。
さらにRSとノーマルの相違点だが、ヘッドライト内のリング部分やドアミラーカバー、シャークフィンアンテナ、エキパイフィニッシャー、ホイールナットがブラックに統一される点がRSの「特別装備」といえる。
そしてRSの中身。もともとこのモデルの企画は、ガソリン仕様におけるMT比率が年々高まっているというデータがきっかけだった。
いっぽうで既存のLXとEXにあったMTモデルはエンジンレスポンス、とりわけ回転落ちの鈍さなどがMTとのマッチング上イマイチだったため、北米仕様シビックにある「Si」というグレードを援用する形で、RSが誕生したというわけだ。
■フライホイールは5kg軽量化!
エンジンそのものはLX、EXと共通する1.5L VTECターボで、出力も同じ134kW(182ps)だが、乗るとまったく別物に感じる点は感動的。
それもそのはず、フライホイールを5kg軽量化し、吹け上がりで30%、吹け下がりは50%レスポンスが高まっているのだ。しかもシビック・タイプRが採用するレブマッチ機能も導入したから、シフトダウン時の回転数合わせはクルマ任せでOK。
足回りもノーマルに対してよりシャキッとして芯のある印象となった。スプリングとスタビを強めて車高が5mmダウンし、ロール剛性も11%高まっているが、タイプRのような過激さはみじんもない。
さらにフロントサスのコンプライアンスブッシュを液封式からソリッドラバーに変更したため、旋回時に外輪が縮み切った際の挙動が、よりコントロールしやすいものとなっている。ドライブモードも刷新され、従来の「ECON」「NORMAL」に加えて「SPORT」「Individual」が追加された。
価格面ではちと残念な面もある新型シビックだが、とりわけRSは、最後の国産ガソリンMT専用モデルとなりそうな可能性もあるだけに、注目すべき1台。シビック本来の居住性などと併せて、ディーラーでチェックしてみても損はない!
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。