マツダの販売が好調です。マツダの2025年3月期(2024年4月から2025年3月)の第一四半期(4月1日から6月30日)にける連結業績は、売上高が1兆2056億円で、前年同期比で11%増に。第一四半期としては過去最高の売上高だったそう。

 なかでも好調なのが北米市場。2025年3月期第一四半期においては、前年同期比で14%も販売台数が増えたそうです。北米市場では、第一四半期としては過去最高のシェアと達成したとのことで、2025年3月期通期の見通しとしても、北米市場においては、前年よりも17%増となることを見込んでいるといいます。円安効果によるところもありますが、ラージ商品群とよばれる、ミドルクラス以上のSUVの販売が好調であることも理由のようです。

 実はマツダには、海外では販売しているのに、日本では販売していないSUVもいくつかあります。グローバルで販売されているマツダのクロスオーバーSUV(軽は除く)を全車種ピックアップし、ご紹介しましょう。

文:吉川賢一/写真:MAZDA

マツダ最小のクロスオーバーSUV「CX-3」

 数あるマツダのクロスオーバーSUVのなかでもっともコンパクトなモデルが「CX-3」です。マツダ2(元デミオ)をベースに、背を高めたクロスオーバーSUVスタイルのコンパクトカーであり、日本やタイで販売されています(北米仕様は2021年モデルをもって終売)。日本国内での販売価格は227.9万円(税込、2024年8月末時点の価格、以下同様)から。パワートレインは、1.5Lガソリンエンジンと、1.8Lディーゼル。デビューから既に9年が経過しており、そろそろ次期型の登場に期待したいモデルでもあります。

2023年9月に商品改良を受け、デザイン性の高さをさらに深化させた特別仕様車「ビビッド モノトーン」を新たに設定した
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コンパクトクラスとミドルクラスの間を埋める「CX-30」

 「CX-30」は、コンパクトクラスとミドルクラスの間を埋める、使い勝手のよいサイズ感のクロスオーバーSUVです。日本市場のほか、北米、中国、欧州、その他の国でも販売されています。

 MAZDA3をリフトアップしたようなクロスオーバーモデルで、ロングノーズとスタイリッシュなキャビン形状が魅力。日本国内の車両価格は275.9万円(税込)からと、CX-5よりもリーズナブルな上に、質感の高いインテリアを備えており、魅力の高い一台に仕上がっています。

変幻自在のスモールクロスオーバーSUV「MX-30」

 そのCX-30とプラットフォームを共有し、ボディサイズもほぼ同サイズ、といういわば姉妹車にあたるのが「MX-30」です。珍しい観音開きタイプのドアや、マツダのほかのSUVとは異なる優しめのフロントフェイス、コルク材を用いたセンターコンソールなど、他のシリーズとは一味違ったキャラクタが特徴。パワートレインも、マイルドハイブリッド(税込264万円~)とバッテリーEV(税込451万円~)、ロータリーエンジン発電のPHEV(税込み423.5万円~)など、変幻自在。まるで忍者のようなモデルです。

中国専売のスモールクロスオーバーSUV「CX-4」

 マツダのスモールサイズSUVとしてはほかにも、2016年6月からマツダと中国の第一汽車による合弁会社が販売している「CX-4」というモデルがあります。ボディサイズはCX-3とCX-5のちょうど中間で、なだらかに傾斜したリアウインドウが特徴的。2017年のチャイナ・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、そのデザインが高く評価されています。

中国専売のCX-4。マツダらしくスポーティさに溢れていると、中国国内では人気となっている

グローバルで大人気、ミドルクラスSUVの「CX-5」

 そして、マツダラインアップにおいてもっとも売れているのが、ミドルクラスSUVの「CX-5」です。日本市場のほか、北米、中国、欧州、その他の国でも販売されています。売れ筋であることから毎年のように商品改良がおこなわれており、直近では、2023年9月に年次改良を受けています。パワートレインは、2.0Lガソリンエンジンと2.2Lディーゼルエンジンの2種類で、日本国内の車両価格は290.9万円(税込)から。

 現行CX-5は2017年2月登場と、すでに7年が経過しており、そろそろ次期型の登場に期待したいタイミング。マツダも、2024年3月期決算発表会において、次期型CX-5について触れており、次期CX-5には、マツダ製のハイブリッドが搭載されるとのこと。

 マツダといえば、次世代の電動ユニットに合わせる新たなロータリーエンジンを開発中としており、次期CX-5に搭載されるマツダ製のハイブリッドが、その新たなロータリーエンジンを採用したものになるのかは注目ポイント。いずれにせよ、マツダの旗艦モデルであるだけに、どんなクルマに仕上がってくるのかは非常に楽しみです。

万能型のクロスオーバーSUV「CX-50」

 そのCX-5よりもやや大きいのが、北米市場向けのCX-50です。2022年1月から生産開始となっています。マツダ3やCX-30と同じスモールアーキテクチャーをベースとしていますが、全幅は1920mmとひとクラス上のCX-60よりもワイド。北米市場向けとあって、アウトドアやオフロードでの走破性を重視してワイドなスタイルしたようです。

 パワートレインは、2.5Lガソリンエンジンと、2.5Lターボがありますが、さらに2024年後半には、トヨタのハイブリッドシステム(THS)を使用したストロングハイブリッド仕様も追加される予定。北米での販売価格は30,300ドル。28,550ドルからのCX-5と(為替レートにもよりますが)20数万ほどの価格差となります。

米国向けのCX-50。米国アラバマ州ハンツビルにあるトヨタ自動車との合弁新工場にて製造される、スモールアーキテクチャーのクロスオーバーSUV

日本および欧州向けの上級クロスオーバーSUV「CX-60」

 そのCX-50のひとクラス上に位置するのが、日本でも2022年9月に発売されたクロスオーバーSUV「CX-60」です。日本及び欧州向けに開発されたモデルで、パワートレインは、2.5Lガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(税込609.9万円~)、直列6気筒ディーゼルエンジンとマイルドハイブリッド(税込530.7万円~)、直列6気筒ディーゼル(税込353.6万円~)、ベーシックな2.5Lガソリンエンジン(税込322.3万円~)の4種類を設定。トルコンレス8速ATを組み合わせ、縦置き配置の新型プラットフォームと組み合わせています。上質なインテリアにも注目です。

北米向けの2列シートラグジュアリークロスオーバーSUV「CX-70」

 CX-70は、2024年春に米国とカナダで発売となった、2列シートラグジュアリークロスオーバーSUVです。3.3L直6ガソリンターボにM Hybrid Boost(48Vマイルドハイブリッドシステム)を組み合わせたハイブリッドと、2.5L直4ガソリンに電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドという2種のパワートレインを設定。全グレードに電動化技術を採用しています。米国での販売価格は40,445ドルと、3列シートのCX-90の米国ベース価格(37,845ドル)よりも値付けが高く、上級カテゴリに向けた、ラグジュアリークロスオーバーSUVです。

2024年春より米国およびカナダで発売となったCX-70。北米市場にフォーカスした、ラグジュアリークロスオーバーSUVだ

日本、欧州向けの3列シートクロスオーバーSUV「CX-80」

 2024年4月に欧州で初公開となった3列シートクロスオーバーSUV「CX-80」は、欧州市場と日本市場に向けて開発されたモデル。日本仕様も2024年8月22日に初公開となりました。

 2023年末で生産が終了した3列シートSUV「CX-8」の後継車にあたり、2列目シートは、センターコンソール付のセパレートのキャプテンシートが備わっていますが、キャプテンシートでコンソールが無くウォークスルーが可能な仕様や、そして3人掛けが可能なベンチシート仕様も設定されているなど、幅広い使い方ができるのが特徴。2列目・3列目シートは折りたたむこともでき、家族旅行や、仲間とのアクティビティに必要な荷物を搭載することも可能とのことです。

 日本での発売は2024年秋を予定しているとのことで、現時点価格は明らかになっていませんが、ベースグレードは400万円を切るのではないかと筆者は予想しています。貴重な3列シートSUVだったCX-8の後継車として、CX-80も日本内外でヒットモデルとなるか、期待が集まります。

2024年8月22日に日本仕様が初公開となったCX-80。今秋より発売開始の予定だ

北米向けの3列シートクロスオーバーSUV「CX-90」

 そして、マツダ最大のSUVが、3列シートクロスオーバーSUV「CX-90」です。2023年春より米国で発売開始となりました。

 北米市場ユーザーのニーズを踏まえて開発されたモデルで、全長は5100mm、全幅は1994mmとビッグサイズ。乗員全員が快適に過ごせるよう、全ての席の空間を拡げ、3列目には3人掛け用シートや専用空調吹出し口を設定。北米市場では重要な、トーイング性能の強化もなされています。

ラージ商品群で最大サイズとなるCX-90。北米市場向けにはPHEVと48Vマイルドハイブリッドシステムの2種類が設定されている

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 クロスオーバーSUVではありませんが、マツダは、中国市場向けとして、中国現地企業と共同開発した「MAZDA EZ-6」を、2024年10月に投入するとしています。バッテリーEVとプラグインハイブリッド車の2種が設定されるとのことで、電動化に向けた取り組みも着実に進めているようです。

 それぞれの地域での顧客の需要にあわせ、大小さまざまな商品をラインアップするマツダ。好調な北米市場とラージ商品をテコにして売上高を伸ばし、2025年3月期はグローバルで140万台の販売を目指すとのこと(2024年3月期は124.1万台でした)。今後の動向にも期待したいです。

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