ゴルフ用品の中にはタイヤメーカーが手掛けるブランドがいくつか存在する。ゴルフとタイヤは似て非なるもので共通点がなさそうだが、技術的にもブランド的にもとっても親和性が高い。タイヤメーカーがゴルフ用品を手掛ける理由を解説する。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:デグナー12、写真AC
■タイヤ製造で培った技術をゴルフに転用できる
ブリヂストンが「ツアーB」や、かつての「ツアーステージ」を含む「ブリヂストンゴルフ」、住友ゴムが「ゼクシオ」や「スリクソン」、横浜ゴムが「プロギア」のブランドでゴルフ用品を製造販売している。タイヤとゴルフに類似点はないように思うが、国内4社のタイヤメーカーの内、3社がゴルフ事業を手掛けているとなればそこには理由があると考えるのが自然だろう。
その理由は大きく2つ。1つ目はタイヤの開発製造で培った技術をゴルフ用品に転用できるため。ゴルフをたしなむ人であればゴルフボールの中身はゴムであることはご存じのはず。表面こそ硬い樹脂で覆われているが、割ってみればそこにはゴムが詰まっている。
ゴルフボールには遠くまで飛ぶことと、着地した際に跳ねすぎずに止まってくれるという背反する性能が求められる。ボールによってはゴムが多層構造になっていたり、ゴムの硬度もさまざまで、タイヤを開発する過程で培った各メーカーのノウハウが詰まっている。ゴルフ事業を展開するに至った経緯は各々異なるが、概ね、既存技術を流用できる点が大きい。
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■ゴルフ用品の技術をタイヤに転用する場合も
タイヤの技術をゴルフ用品の開発製造に転用するのが基本的な流れだが、ゴルフ用品の技術をタイヤに応用した例もある。横浜ゴムのエコタイヤシリーズの中にはゴルフボールのディンプルと呼ばれる凹凸をタイヤパターンの一部に採用しており、タイヤのショルダー部分にはディンプル形状の溝が配置されている。
ゴルフボールのディンプルには空気抵抗の低減と揚力を発生させ、よりボールを遠くへ飛ばすという目的があり、タイヤにおいても省燃費に寄与する。ただし、実際はディンプルの面積は多くはないため、空気抵抗よりもディンプルによる放熱性向上のメリットの方が大きいようだが、ゴルフ用品からの逆輸入ともいえる発想がユニークだ。
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■タイヤとゴルフ用品の双方からユーザーへの商品訴求が狙い
2つ目の理由はブランド訴求。ゴルフ場の多くは郊外にあるため、ゴルフをたしなむ人はクルマの保有率が高く、ゴルフバッグを積むため、普通車の割合も高い。必然的に装着するタイヤは高単価で、実際、駐車場に並ぶクルマはハイブランドのタイヤの装着率が高い。他のスポーツに比べてお金がかかるため、金銭的に余裕のある人が多いことも背景にあるだろう。
愛用するブランドやスコアのよかったクラブには自然といいイメージをもつこともあり、ゴルフ用品と同じメーカーのタイヤを選ぶ可能性も高くなるというもの。その逆も然り、愛車のタイヤと同じメーカーのクラブを使用する可能性もある。そういう点で企業イメージから逸脱せずに異なる事業展開ができるゴルフ事業は都合が良かったということだろう。
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