いすゞ自動車は9月19日、大型トラック「ギガ」の7速マニュアルトランスミッション(M/T)搭載車を、2025年春から、グループ傘下のUDトラックスへ供給すると発表した。UDの大型トラック「クオン」現行モデルの7速M/T車を、ギガのUDブランド車へ置き換えて展開するという。
文・合成画像/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/いすゞ自動車、UDトラックス
ギガがクオン7速マニュアル車になる!?
いすゞとUDトラックスは、国内向けおよび海外向けのトラックにおける商品の相互補完を進めており、大型トラクタ(23年4月・UD車をベースに共同開発)、小型トラック(23年12月・いすゞがUDへ供給)、中型トラック(24年1月・同)、海外向け大型トラック/トラクタ(24年7月・UDがいすゞへ供給)で実施あるいは実施を計画している。
2025年春からは、UDの大型トラック「クオン」の7速M/T搭載車として、「ギガ」のUDブランド車をいすゞから供給する。ただし、薬剤散布車用シャシー(6×4車型CWに設定)とセミトラクタ(4×2車型GKに設定)の7速M/T車は、UDオリジナルの現行モデルを継続する。
現行型クオンでは、排気量10.8リッター・GH11型エンジン搭載の単車型を中心に、7速M/Tを幅広く設定しているが、これらがいわゆる「藤沢モデル」へ移行する。
このクオン藤沢モデルでは、「UDのブランドイメージを継承するデザイン」を採用するとしており、トラクタとは逆に『クオン顔の現行型ギガ』が誕生するものとみられる。
狙いはトランスミッション生産の合理化か
トラックユーザーではいまもマニュアル車に根強い支持があるが、運転労力の軽減、自動運転を含むADAS(先進ドライバー支援システム)や燃費効率向上のための高度なパワートレーン統合制御では、トランスミッションの自動化が不可欠で、マニュアル車の設定は徐々に減少しつつある。
いっぽう、大型トラック用7速MTは内需がメイン(海外向けM/T車はトランスミッション専業メーカーからも調達している)で生産量も限られていく方向にあることから、いすゞとUDの7速M/T車を共通化、それぞれが個別に開発してきたユニット生産も将来的には集約して、グループ資源の効率化を図るものと考えられる。
前述のように、UDオリジナルのクオン7速M/T車は一部車型では存続するが、いずれもマイナー車型であり、少なくとも生産規模は縮小する。ちなみに、このほかのクオンのマニュアルトランスミッションとしては、高トルク車用の12速M/T、総輪駆動車用の副変速機付6速M/Tがある。
なお、いすゞとUDは現在、次世代大型トラックの開発を共同で進めており、2028年度に投入する予定だ。この次世代モデルでは、いすゞと提携関係にあるボルボ・グループの技術を活用したプラットフォームを用いることになっている。
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