1990年に[はかた号]が登場するまで、本来なら“航空機運用の距離でしょ”というほどの長距離、東京〜鳥取県間の最長794.4kmを走っていたキャメル号。

 バスマガジンvol.108ではそのアウトラインと日ノ丸自動車、日本交通の車両を紹介した。ここでは、周辺の情報と京浜急行バスの車両、多客時に3号車以降として使用された3社の車両を紹介する。

(記事の内容は、2021年9月現在のものです)
執筆・写真/太田博之
参考文献/日ノ丸自動車八十年史
※2021年9月発売《バスマガジンvol.109》『キャメル号33年の変遷』より

■日ノ丸自動車の高速バスのボディが砂丘カラーになった経緯

日ノ丸自動車の新しい高速車両のボディーカラーデザイン(B)

 日ノ丸自動車の高速バスのボディーデザインには、かつては「キャメル」号の車両の3種類のカラー、そしてスーパーハイデッカーの貸切車との兼用のカラーと、新しい高速車両のカラーの5種類があった。

 1991~94年、当時懇意にしていた日ノ丸自動車の担当者から筆者に、今後の当社の高速バス用車両のボディーカラーデザインをどんなものにしたら良いか、何かいい案は無いだろうかと相談された。

 日ノ丸自動車の看板である高速バスと言うこともあり、鳥取県をイメージするもので、鳥取市に本社を構えるバス会社であることを考えて浮かんだのが、とにもかくにも鳥取砂丘。そこで思いついたのが、「キャメル」号のメインデザインの、砂丘をモチーフにした「B」のデザインだった。

 当時はすでに、日本交通は高速車両のカラーは統一され、インターシティーカラーになっており、京浜急行電鉄も同じく長距離高速路線用車両のカラーは、キャメル号で採用された「A」案で統一されていたこともあって、日ノ丸自動車の担当氏に「B」のデザインを提案したところ、それが後日採用された。

日ノ丸自動車、スーパーハイデッカーの貸切車との兼用のボディーカラーデザイン(A)

 1996年に導入された、鳥取~広島線「メリーバード」用車両と「キャメル」号用車両から、日ノ丸自動車日野セレガハイデッカー・QPG-RU1ESBA・2015年式、の高速バス車両のボディーカラーといえばおなじみの砂丘カラー、ということが定着し今日に至った。

■三菱ふそうに特注した背の高いエアロバスは3両のみ製造

初代羽田観光バスセンター、品川22か3792・日野ブルーリボングランデッカーP-RU638BB・エンジンEF75・1988年式・ボディカラーはB、日野車体製

 日本交通が初代キャメル号用に導入した車両、日野ブルーリボングランデッカーの車高は3.6mだったため、これに並んだ際に見た目をそろえるため、三菱ふそうに同じ車高のバスを特注したのだった。

 それは型式こそP-MS725S(改)スーパーエアロIIとなっているが、同社での社内型式呼称はSHであり、なんと同社が翌年新型式として発表するP-MS729SエアロクイーンMのために開発したボディを使用したものだった。

 それは当時の現行モデルP-MS725シャシーとエンジンをそのままにし、ボディー架装したもので、ドアの上部のみエアロバスに合わせて傾斜をつけた、エアロ特有のボディとして誕生した。

 当時発売されていたスーパーエアロIIとは外観上はまったく別物で、今でいうレアモノ物件、日本交通に3両だけ納車された特別車両だった。

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