ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はキャデラック XT6(2019年-)試乗です!(本稿は「ベストカー」2020年11月10日号に掲載した記事の再録版となります)

撮影:西尾タクト

■XT6は、実はとても優れたファミリーカー

キャデラック XT6 NIGHT CRUISE EDITION(910万円・9AT)。2019年末日本導入の3列シート6人乗りSUV。314ps/37.5kgmのV6 3.5Lエンジン搭載、全長5060×全幅1960×全高1775mm、ホイールベース2860mm、車重2110kg

 久しぶりのキャデラックだ。ラグジュアリーSUVのXT6。

 巨大なエスカレードよりは小さいが、それでも全長5060mm、全幅1960mm。しかも左ハンドルしかないから運転が苦手な人は購入を考えないだろう。価格は870万〜910万円である。

 しかし、運転してみると船のようで「これぞアメリカ車!」という独特の乗り味。この魅力はさすがで、北海道の広い道をゆったり走ったら最高だろうと思わせる。

 私はかつて、全幅が2.2mほどもあったハマーH1に乗っていたことがある。

 もちろん左ハンドルだったが、歩行者や自転車に近くて安全だし、縦列駐車もしやすいという利点もあったことを思い出す。あれに比べれば、XT6なんて小型車のようなものだと強気に言ってみたいが、まぁ、大きいことは大きい。

 しばらく走って連載担当に運転を代わってもらい、助手席でくつろぐ。室内はもちろん余裕いっぱいで、柔らかな乗り心地もあって快適至極。キャデラックは「乗せてもらうクルマだな」と再確認した。

2列目は左右独立のキャプテンシートでゆったり快適。ファミリーカーとしても優れている

 おそらく奥さんや子どもも喜ぶし、じいさん、ばあさんも車内で快適に過ごせる。このクルマ、実はとても優れたファミリーカーなのだ。

 ひとつ下世話な話をすると、総額1000万円くらいで購入しても、2〜3年で売り値は半額くらいになるだろう。

 それを眉ひとつ動かさず泰然と受け止める器量があり、5mを超える全長と2m近い全幅、さらに左ハンドルを苦にしない運転技量がある人は全員買ったほうがいい。

 それほど優れたクルマである。

 キャデラックは街であまり見かけないのもいい。ベンツやBMWのSUVはそこら中を走っているが、キャデラックはめったに見ない(←誉めてます)。

 エスカレードまでいくとやり過ぎだし、ひとまわり小さいXT5はアメリカ車の匂いがあまりしないから、その点でもXT6はちょうどいい存在なのだ。

 輸入車といえばベンツやBMW、フォルクスワーゲンになるのはあまりに芸がない。先に挙げた条件を持つ人は、今すぐXT6の購入を考えるべきだ。

2m近い全幅と左ハンドルは敷居が高いと思うかもしれないが、住宅街の細い道はともかく、一般的な道路なら都市部でも持て余すことはない

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■サンルーフからシャンパンタワーを突き抜かせろ!

ドイツ車に近づいたとよく聞くが、やはりアメリカ車独特の柔らかな乗り味は健在。これがいい!

 キャデラックXT6の試乗を終え、中華のお昼ごはんを食べながら思いついたことがある。

 このクルマは大きいから車内が密になりにくい。3列シートでたくさんの人が乗れるし、しかも2列目シートはセパレートタイプで余裕もある。さらに言えば、大きな電動サンルーフが標準装備だから、開ければシャンパングラスをタワーのように立てることもできる。

 これほど出張ホストクラブにふさわしいクルマはないのではないか。

 コロナ禍のご時世、ホストクラブも大変である。接待を伴う飲食店として、一時は目の敵にされていたこともあったが、キャデラックXT6なら安心だ。歌舞伎町の駐車場にクルマを置いて、女の子を楽しませてあげてほしい。

 もちろん運転は厳禁だが、クルマを部屋として使う分には誰も文句は言えないだろう。高級オーディオも付いているから、近所迷惑にならない程度に音楽も楽しんでほしい。

 ホストの人たちはフェラーリやランボルギーニに乗りたがるだろうが、そのチョイスは大間違いだ。

 そんな役に立たないクルマではなく、歌舞伎町のホストたちはキャデラックXT6をまとめ買いするべきだ。「まとめて買う!」と言ったら半額も夢ではないのではないか。

 そうして「ホスト=キャデラック」という新しい価値観を作ってほしい。もちろん、ローランドもそこに1枚噛んでもらおう。

 輸入車はたくさんあっても、出張ホストクラブにふさわしいクルマなんてそうはない。クルマそのものの内容もさることながら、やはり「キャデラック」というブランドがそうさせるのではないか。あのジャイアント馬場さんが愛したキャデラックは令和の今も不滅なのだ。

 外観を眺めながら「このクルマが家にあったら、ちょっと厄介だな……」と思ったのは事実だが、それは私が売れっ子ホストになれない男だからだ。私の実力不足である。

●テリー伊藤 今回のつぶやき

 ファミリーカーとしての性能と、ホストクラブの妖しさが同居しているSUV。これぞキャデラックならではの魅力だ!

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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