当連載は、カーオーディオ愛好家を増やすことを目指して展開している。運転中に音楽を聴いているドライバーは多くいるのに、システムアップが実行されることはそれほど多くない。その原因が“分かりづらさ”にあると仮定し、その払拭を試みている。

◆サブウーファーボックスは、構造を工夫することで鳴り方を変えられる!

現在は、「サブウーファー」に関連した事柄にフォーカスしている。今回は、「サブウーファーボックス」にタイプ違いがあるのはなぜなのかを解説していく。

結論から入ろう。サブウーファーボックスにタイプ違いがあるその理由は、「構造を工夫することで鳴り方を変えられるから」だ。

ちなみに、スピーカーボックスには構造違いがさまざまある。しかしカー用のサブウーファーボックスのタイプ違いは、主には2つだ。なぜならば、「複雑な構造のボックスほど大きくなるから」だ。サブウーファーを鳴らすための「ボックス」はそもそも大きくなりがちで、複雑な構造を採用するとさらに大きくなってしまいトランクの積載性が悪くなる。つまり現実的ではなくなってしまうのだ。

なので比較的にシンプルな構造である「シールドボックス」か「バスレフボックス」、これらのいずれかが採用されるケースがほとんどだ。

「シールドボックス」の一例(カロッツェリア・TS-WX2530)。

◆ボックスは、スピーカーの裏側から放たれる音を“閉じ込める”ためにある!

では、シールドボックスとバスレフボックスのそれぞれがどのようなものなのかを説明していこう。まずはシールドボックスから。ちなみにこれは、日本語でいうと「密閉型」となる。

ところで、スピーカーを鳴らすためにはなぜにボックスが必要となるのかを説明しておこう。ボックスは、スピーカーユニットの裏側から放たれる音を閉じ込めるためにある。というのもスピーカーは振動板を前後に動かして空気を震わせて音を伝えるが、その営みはスピーカーの裏側でも行われる。で、表側の音と裏側の音とは耳で聴く分には同じ音だが、音波としては真逆の関係にある。

なぜなら、表と裏とでは振動板の動き方が真逆だからだ。表側から見て振動板が前に出ているときにそれを裏から見ると、振動板は引っ込んだ状態となっている。

「バスレフボックス」の一例(カロッツェリア・TS-WX2530)。

◆シールドはタイトな低音を出しやすく、「バスレフ」は濃厚な低音を出しやすい!

で、耳で聴く分には同じ音なのに音波としては真逆の関係にある音同士が同一空間で交じり合うと、困った現象が引き起こされる。それは、「打ち消し合い(キャンセリング)」だ。ボックスはこの、「キャンセリング」を防ぐべく存在している。この中に裏側の音を閉じ込めれば、キャンセリングは起こらない。

というわけでシールドボックスは、その役目を愚直に果たす。対してバスレフボックスは、裏側の音を活用する構造となっている。「ポート(ダクト)」と呼ばれる穴を設けて、そこから裏側の音の音波を反転させた上で外部に放出する。

そうするとキャンセリングは起こらずむしろ低音を増強できる。しかもポートの構造を工夫することで、増強の仕方をコントロールできる。

対してシールドボックスは比較的に小型化が利く。そしてタイトでレスポンスの良い低音を鳴らしやすい。その一方で低域側の再生レンジが狭くなりがちだ。その点ではビハインドがある。

今回は以上だ。次回もサブウーファーに関連した分かりづらい事柄について説明する。お楽しみに。

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