日本にピックアップ人気を再燃させた三菱トライトン。このクルマは、そのタフな個性をアピールすべく、日本や海外でラリーにも積極的に参加している。そこで実際にトライトンでラリーに挑んだ二人を直撃、その走らせ方、楽しみ方を聞いてみた!
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文:ベストカーWeb編集部/写真:茂呂幸正、三菱自動車
■三菱自動車社員としてラリーに挑む
最初に登場するのは、三菱の社員ドライバーとして東南アジアで行われたアジアクロスカントリーラリー(AXCR)2024に挑んだ小出一登さん。
小出さんは、篠塚健次郎さんや増岡浩さん(現AXCRチーム総監督)といった名ドライバーを生み出してきた伝統の「三菱社員ドライバー」に連なる一人として、他のトライトン3台の支援も担うクイックサポート役の137号車トライトンをドライブした。
Q:小出さんは普段、三菱自動車でどんなお仕事をされているのですか?
「今は増岡監督といっしょにテストドライバーの育成をしています。加えてこの(AXCRの)ラリープロジェクト専任で仕事をしています。三菱にはテストドライバーの有資格者が3000人くらいいるのですが、S級という一番上のライセンスが20人います。僕もその一人です」
Q:今年参戦したトライトンはトレッド拡大やシーケンシャルミッションなど進化がすごいです。小出さんがドライブした137号車も同じですか?
「私が乗ったトライトンは2023年のノンアップデート版です。ほぼ市販車のスペックに近い。エンジンパワーもサスペンション形式も変えていません。いわば一般ユーザーの方が乗るトライトンに一番近いクルマですね」
Q:初めてステアリングを握ったAXCRはいかがでしたか?
「もう驚きばっかりです。『本当にこんなとこ走るのかな』と。去年まではエンジニアとして帯同したのですが、ドライバーとして参加すると「もっとここはこうしたいああしたい」といった思いが生まれてすごくいい経験になりました」
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■トライトンには1997年のパジェロの足回りデータが活きている!
Q:クイックサポートという役割も担っていたわけですが、実際に助ける場面はありましたか?
「レグ4でスタックした130号車を引っ張った経験が印象的でした。25度くらいあるガレ場の強烈な上り坂なんですが、130号車はフロントのドライブシャフトが折れてFR状態だったんです。2トン近いクルマを引っ張って上り切ったときは達成感がありました。上り切れずに休んでいたバイクの参加者が立ち上がって拍手してくれたことを覚えています」
「それには秘密があって、他の3台のトライトンがレース用ミッションだったのに対し、僕のクルマだけは4WDモードに市販車と同じ『4LLc(センターデフロック&ローギア直結4WD)』が付いていたからできたんです。このときは改めて『トライトンってすごいなあ』と感じましたね」
Q:単純な排気量でいえば、トライトンはAXCRでのライバルたち(トヨタハイラックスREVOやいすゞD-MAX)に劣っています。トライトンの強みはなんだったのでしょうか。
「そうですね。絶対パワーでいえばライバルたちには勝てない。まっすぐな道だとすごく速いんですよ。なのでうちはハンドリングと軽量化で勝負します。曲がりくねったところで取り戻す感じですね」
Q:三菱のモータースポーツといえばパジェロやランエボが思い浮かびますが、そういった歴史の継承というのは行われているのですか?
「社内にはパジェロの活躍を知る世代がぎりぎり残っている状況です。そういった方たちからフィードバックするような取り組みを進めています。実際トライトンの2024年モデルには、1997年にパリダカを戦ったパジェロの足回りのセッティングデータを活用しました。実際走ってみると、足がよく動いて実に乗りやすいんです」
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■私はこのクルマでラリーに出たい!
続いて登場するのは、ベストカーWebでもおなじみのモータージャーナリスト、竹岡圭さんだ。竹岡さんは2024年、北海道で開かれたXCRスプリントカップ北海道のXC-2クラスに桃色のトライトン(通称モモ//トン)で参戦し、第3戦ラリーカムイでクラス3位、第4戦ラリー北海道で同4位に入賞を果たしている。
Q:竹岡さん、XCRスプリントカップ参戦までは、すごいタイトスケジュールだったそうですね?
「私は、ラリーアートのドライビングスクールでインストラクターを務めていたこともあって、ずっと『三菱のクルマでラリーに出たい』と思っていました。そんなとき、タイでトライトンがデビューしたのですが、そこでクルマを見た私は『これならいけるんじゃね?』と思ったんです」
「それで、その場で開かれた三菱の社長や副社長もいらっしゃる記者会見で、『私はこのクルマで来年ラリーに出たいです』って思いを伝えました。以来私はずーっと、トライトンでラリーに出たいって三菱じゅうの人に知れ渡るくらいいい続けてきたのですが、なんと今年の3月末、そのゴーサインがいただけたのです」
「とはいえゴーサインは出たものの、(タイで生産される)クルマは来ない、部品はない、さあどうする? ってなって、最後は13日間でロールケージを溶接する突貫工事でラリーに出たんです(笑)」
Q:そんなトライトンで向かった北海道はいかがでしたか?
「いろんな人が『三菱がラリーに帰ってきた』とか『ラリーアートのロゴがまた見れた』とか言ってくださって、みんなも喜んでくれたし私もうれしかった。ラリーのスタート前、帯広駅前でラリーショーが開かれたんですが、そのとき200人くらいの人が列を作ってくださってサインをしたんです。皆さん、昔のラリーアートのTシャツとか着てくださっているんですよ。感激でしたね」
■シフトダウンはマニュアル、立ち上がりはDレンジ?
Q:いよいよ始まったラリーではどう走りましたか?
「初戦のラリーカムイではデータどりということで、ものすごく抑えて走りました。うちのクルマはリエゾンでクルーズコントロールが使えるくらいドノーマルなので(笑)、衝突被害軽減ブレーキがオフになってるかとか、4WDとドライブモードの組み合わせなども探りながらのドライブでしたね」
「(ラリーカムイで3位入賞後)次戦のラリー北海道を迎えるんですが、ここでもパーツが間に合わなくて、結局ほぼラリーカムイのセットのまま走りました。ただここではもう少し攻めた走りができました」
Q:竹岡さんの攻め方を教えてください。
「まずシフトワークですね。下って上るようなタイトコーナーでは、トライトンはもともとの重さもあって車速が落ちてしまう。そんなときはMTモードでシフトダウンするしかないわけですが、ディーゼルって回転域が限られるので注意しなきゃならない」
「あれこれトライしてたどり着いたのが、とにかくコーナーの進入ではバンバンとシフトダウンしてしまう(※オーバーレブしそうならクルマ側がシフトダウンしない)。で、クリッピングに付いたと思った瞬間、Dレンジに戻して、立ち上がりはATで脱出するんです。そのほうが早くて楽(笑)。これってトライトンでワインディングを走るときだとか、猿投とか富士ヶ嶺のオフロードコースを楽しむ人も、使えるワザだと思いますね」
Q:4WDとドライブモードはどんなセットでしたか。
「北海道のラリーステージでは4H(フルタイム4WD)のグラベルか4HLC(センターデフロックの直結4WD)のマッドを使い分けた感じでしょうか。進入のブレーキングや長いストレートでクルマが安定するので、センターデフロックする4HLCが合ってるとは思いますが、もっと曲がってほしいと思う場面もあるので、これは状況にもよりますね」
「カムイに出たとき、リアがグリップしないなあと感じて、ライバルのハイラックスがリアにスペアタイヤを2本積んでいたので同じことをやってみたんですが、クルマの動き自体が良くならない。結局、重くしてもダメで、軽いまま足をきちんとしなきゃだめだということが分かりました。その後はリアに積むスペアタイヤは1本にして、燃料の搭載量を計算しています。最小限だけ積んでできるだけ車体そのものを軽くする方向ですね」
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というわけで、お二人からはトライトンの魅力と走らせ方をたっぷりうかがうことができた。もちろんトライトンの優れた走りは、ラリーフィールドに限らず日常のドライブでも生かすことができる。ぜひ一度ステアリングを握って、その感動を体感してほしい!
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