最近は悪天候でレースキャンセルや予選延期などが相次いでいるスーパーGT。こうも天候に左右されるシーズンは珍しいのだが、今回のオートポリスについてもなかなか厳しい展開が待っていた。いったいどうなるのだろうか? ※レース結果はBC編集部による暫定結果です

文:ベストカーWeb編集部/写真:塩川雅人(ベストカーWeb)

■これが阿蘇ウェザー!? まさかの予選キャンセル

土曜日の悪天候と打って変わって晴れ間が広がった決勝日

 スーパーGTのラウンドはいよいよ九州ラウンド、大分県のオートポリスで開催となった。阿蘇に位置するオートポリス。アップダウンのあるコースレイアウトはどこかヨーロッパも感じる雰囲気でレースファンからも人気があるサーキットだ。

 そんなオートポリス、山間部に位置することもあり天候が非常に変わりやすい。特に霧に囲まれることが多いのも特徴だ。

 予選日となった19日は朝から雨と霧が立ちこめる天候。雨は時折強く降っており、午前中の走行については早々にキャンセルとなった。予選についてもキャンセルが決まり、結局のところ土曜日は一度もGTマシンの走行はなかった。

 とはいえ、常に備える姿勢はドライバーもメカニックも同じ。「どうせ予選はやらないよ」なんて甘い声は届かないのだ。

■朝8時でいきなり予選 早朝出勤でどう挑む

同じKONDOレーシングの24号車はポールポジションを獲得。56号車も2位獲得で幸先のいいスタート

 翌20日の決勝日。なんと予選は朝8時からスタートのスケジュール。5時頃にはホテルを出たチームも多かったようだ。実際6時前でオートポリス周辺道路は混雑を始める。

 吐息も白くなる時間帯、うっすらと霧が覆ってはいたがコース上の安全が確認されてオンスケジュールで予選スタート。しかも今回は最速タイムのみでグリッドを決める方式が採用された。

 我らが56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rの予選アタックはオリベイラ選手。10℃前後の気温で体感もかなり寒いオートポリス。タイヤの温度管理も大変な状況。満を持して予選アタックを開始、というときに4号車がコースオフで赤旗。

販売会社の整備士たちもいつもと変わらないルーティンを続ける。冷静こそ武器だ

 ちょっと流れが変わりそうな展開だが、チームもドライバーも極めて冷静。ピットレーンに止めてタイヤの空気圧をしっかりチェックして、内圧の管理をしっかり行う。

 この辺りの「ひと手間」はプロのレースメカニックたちの経験からくるもので、ピット内でサポートする日産販売会社のメカニックたちにとっても学びになっただろう。実証データを取っておかなければ原因が見えてこないのは市販車も同じだ。

 そして残された時間で猛プッシュをしたオリベイラ選手は2位を獲得。ポールポジションも見えたが、ウェイトを50kgも積んでいることからも決勝はそう簡単にはいかないはずで、3時間レースでは長期的な戦いのストラテジーを組んでいるはず。

■一時はトップを奪取もやっぱり厳しい50kg

晴天の決勝。天気とは裏腹に荒れに荒れたレースとなってしまった

 フロントローからスタートした56号車。スタートダッシュでトップを奪取したが、やはりウェイトが効いている。後続号車の猛プッシュも防ぐも、やはりポジションを譲るシーンが見られた。

 今回は2度のピットインが必要だが、オリベイラ選手はセーフティカー明けにすぐさまピットイン。そのまま淡々とレースを進める。

 50kgの錘は、その数値以上にマシンの性能を左右する。

 佐々木大樹選手に変わりプッシュを続けるもやはり序盤での苦戦を挽回することはできず、12位へと沈んでしまう。いいニュースがあるとすればセーフティカーやFCYが多発したオートポリスだが、完走はどうにか死守できたということ。

 シリーズ王者に向けてはやや厳しい展開になってしまったオートポリス戦。あと2戦をどう戦うのか、今後の展開から目が離せない。

 

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