クルマを下取りに出した際、思いがけず高値がついたり、反対に期待していたよりも値がつかなかった、という経験をした人は少なくないのではないでしょうか。まだまだ年式が新しいし、走行距離もあまり多くない、という条件でも、下取りがよくなるとは限らず、中古車の査定はなかなか奥が深いものですが、下取り価格が高くなる傾向がある車種というのは存在します。中古車買い取り専門店がこっそり教えてくれた、新車登録から3年目でも下取りが高くなりやすいクルマのうち、今回はSUVに絞って3つご紹介します。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA、SUZUKI

下取りのいいSUVといえばランクル300!!

 下取り(リセール)がいいSUVとして、真っ先に名が挙がるのは、やはりトヨタ「ランドクルーザー300」でしょう。実際の事例をご紹介すると、2024年10月の業者向けの中古車オークションにおける、最人気グレードであるガソリンZXの走行距離3万km未満の3年落ち車(2021年式)の相場は、なんと1260万円にも。新車価格は税込730万(2024年10月現在)ですので、新車価格の約1.7倍にものぼる価格です。これは業者向けのオークションでの相場であり、一般ユーザーがリセールに出した際の査定額はこれよりも下がりますが、十分に高い金額になるはずです。

(※編集部注/2024年10月中旬時点でランクル300は、注文数が製造上限を大幅に超えているため、トヨタ新車販売店では受注停止しております。また運よく注文再開時に注文できたとしても、(転売防止の一環として)成約時に一定期間の下取り禁止契約を結ぶ必要がある場合があります)

 中古車買い取り専門店の担当者によると、ランクル300が高額落札となる理由は、パキスタンからの需要が異常に高いためだそう。もちろん、ランクルの耐久性と悪路走破性によるところもありますが、パキスタンは日本と同じ左側通行の国であり、右ハンドルの日本車をそのまま輸入することが可能であるほか、高い関税はかかるものの、現地正規ディーラーから購入するよりも総額が安く済み、また納期もかからないことから、人気となっているそう。

 ただし、パキスタンは自国通貨の海外流出を防ぐなどの理由で、たびたび輸入禁止措置を行うことがあり、その影響で、ランクル300の中古車相場も乱高下することがあるとのことですので、いつもリセールがいいとは限らないということは覚えておきたいポイントです。

ランクル300の2024年10月の業者向け中古車オークションでの相場は、3年落ち車両でも1260万円程を超えていた
リセールの高さからか、ランクル300は発売前から受注が殺到し、すでに2年以上も受注停止になったままだ
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カローラクロスのハイブリッドZ 2WDもリセールが期待できるクルマ

 そして、同じくトヨタの「カローラクロス」もリセールがいい傾向がある車種です。2021年のデビュー当時のハイブリッドG 2WDの価格は税込259万円(2024年10月現在は税込276万円)、最上級のハイブリッドZ 2WDも299万円(現在は325万円)と、カローラクロスは、新車で買ってもコスパが抜群に高いクルマですが、リセールも期待できることでさらにコスパに優れる車種となっています。

 特に人気の高いグレードがハイブリッドZの2WD。2024年10月の業者向けの中古車オークションでは、走行距離3万km未満の3年落ち車(2021年式)の相場が307万円という高値となっています。パノラマサンルーフ(約10万円のメーカーOP)やエアロパーツありだと、さらに高額になるようです。

 ランクル300同様に、業者向けのオークションでの相場であり、一般ユーザーがリセールに出した際の査定額はこれよりも下がりますが、かなりお得だといえるのではないでしょうか。

 カローラクロスハイブリッドは、バングラデシュからの需要が高いそう。バングラデシュも日本と同じ、左側通行・右ハンドルであり、日本からくる中古車は良質なものが多いため、中古車で十分、と考えている人が多いようです。

コロナ禍真っただ中の2021年9月に登場したカローラクロス。少し前まで、人気のハイブリッド車は納期1年という悲惨な状況であったが、現在は納期7~8ヵ月程に短縮している

ジムニーは、シエラがいまアツい!!

 2018年7月にデビューしたスズキ「ジムニーシエラ」も、中古車市場で非常に人気が高い車種です。新車価格は、エントリーのJC(4AT)で税込206万円、上級グレードのJL(4AT)でも税込218万円(5MTはそれぞれ約10万円安い)と、もともと大変リーズナブルなクルマであるジムニーシエラ。

 特に人気が高いのは「JL」のほうです。2024年10月の業者向けの中古車オークションでは、走行距離3万km未満の3年落ち車(2021年式)の相場が278万円、2018年の初期モデルでも200万円を超えています(こちらも、買い取り業者による査定額はこれよりも下がります)。

 ジムニーシエラに関しては、2023年8月に始まったロシアへの中古車輸出に関する規制(ウクライナ侵攻への制裁処置として、排気量が1900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)と、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)の中古車は、ロシアへ輸出することを禁じるというもの)をすり抜けるクルマであることも影響しているそう。ジムニーシエラはまた、カスタムショップのコンプリートカーも多いですが、これらは中古車価格が飛びぬけて高く、趣味性の強いクルマとしてプラス査定となることもあるそうです。

JB74ジムニーシエラの上級グレード「JC」は、4速ATが税込218万円、5速MT車が208万円。高いリセールを狙うには、JCがテッパンだ

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 ほかにも、レクサス「RX」や、ホンダ「ヴェゼル」、またトヨタ「ランドクルーザー250」などは、リセールが高くなりやすいSUVです。

 高いリセールバリューを狙うならば、車種選定も大切ですが、「どこに売却するのか」も重要。面倒でも複数の買い取り店で査定してもらい、より高い価格で買い取ってくれる店を探すことができると、もっともお得なカーライフとなります。ぜひ参考にしてみてください。

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