物価高や円安を是正するために、日本銀行が利上げを決めた。これにより、私たちが組む様々なローンの金利も上がっていくだろう。そこで重要なのが、多種多様に広がったローンの選び方だ。利息負担アップのリスクにも対応できる、自動車ローンの組み方を考えていこう。
文:佐々木 亘/写真:トヨタ、AdobeStock(トップ画像=SRT101@AdobeStock)
■利上げの今、残価設定は危険か?
一般的な均等払いをベースしながら、車両購入代金の3割から6割程度を最終回まで残し、最後に大きく支払うというのが、残価設定ローンだ。クルマが将来持つであろう価値をあらかじめ推定しておき、その価値分はローン契約満了時まで放っておく、つまり時が来たら残債を車両価値で相殺するという考え方である。
もうすっかりおなじみになり、その仕組みを説明する必要もないだろう。最近では、残価設定ローンのさらに変則型となる、「残価2回払い」というローン形態も登場してきた。
これは300万円の新車を購入する際、購入時に1回目の支払い(頭金)として200万円を支払い、ローン期間が3年なら3年後に、残債100万円をクルマと相殺するか、その時点で100万円を支払って乗り続けるかを選択するものである。乗っている間の月々支払いが発生しないというのが、大きな特徴だ。
しかし、手軽な毎月の返済額で、気軽に新車を選んで乗ることができる残価設定ローンなのだが、金利上昇の影響を最も大きく受ける借り方でもある。なぜなら残価として設定した「最終回支払い額」に対しても、借入利息が発生しているためだ。
比較的大きな金額の残る残価設定ローンでは、借入利息の額も大きくなってしまう。
よほどの高残価で、ローン残債を相殺してもなお余りある車両価値が、数年後にも残るなら良いのだが、ほぼトントンというレベルでは、無理に残価設定ローンを組まない方が身のためかもしれない。
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■利上げの影響が出る前ならサブスクの選択が吉かも
トヨタのKINTOを筆頭にしたクルマのサブスクも、なかなか板についてきた。特に若年層では、任意保険料が大きく軽減されるため、利用者も増えている。新車の納期が比較的早いというのも魅力の一つだろう。
仕組みは、毎月の利用料を支払えば、クルマを決まった期間保有できるというもの。利用料には、税金・保険・メンテナンスといった、クルマに関わる様々な出費が含まれているのが特徴だ。
この利用料が、ローンで言う毎月の返済になるわけだが、サブスクリプションサービスの場合は、契約時に取り決めた利用料が契約期間内で突発的に上昇することは無い。銀行の変動金利型ローンのように、日銀の利上げによる影響を受けないのが良いところ。
就職、結婚、出産、育児などで、必要なクルマが短期間で変わるユーザーには、特に強くお勧めしたい方法である。
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■利息に振り回されないのは現金一括! だけど気になる車両減価
借入利息が気になるなら、そもそもローンを組まないのが最強だ。また、残価設定ローンのように、借入残高の減りが緩やかなローンよりも、一定期間で完済できる払い切りローンの方が、金利の変動に振り回されにくくなる。
ただし、クルマは乗り始めたところから、だんだんと価値を下げていくということも忘れてはならない。ローンを払いきる、もしくは現金一括払いをするということは、価値が落ちていく資産に対して身銭を投げていることになってしまう。
そこで、購入前に必ず確認してほしいのが、各ディーラーが設定する「車両残価率」だ。残価設定ローンを指定して見積もりを出し貰えば、最終回支払い額÷車両本体価格×100で計算することができる。
3年で70%、5年で50%以上が見込める車種なら、残価設定ローンを選んでもいいだろう。利上げの影響も限定的だ。これ以下の数字になるようなら、サブスクや頭金を増やした均等払いを選ぶと、将来的な不安は少なくなる。
車種によって、ローンの組み方を変えるのが、ローン支払い期間を不安なく過ごすためのテクニックである。賢くローンを使って、楽しいカーライフを送ってほしい。
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