以前に運転免許を「取る」のと「買う」とでは?という記事を書いたが、大型二種免許を取得するのに等しく受験の必要があるのが学科試験だ。指定教習所を卒業しても免除してくれないので同じ問題で受験する必要がある。本当の試練は学科だという人もいるほど合格率は低い。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■二種学科は全種共通
二種の学科試験は普通二種でも大型二種でも試験は共通だ。よって出題範囲はタクシーやバスとも両方出るので、大型二種だからといってタクシーのことを知らなくてよいというわけではない。バス運転士が不足する中で、これだけは個人の努力によるしかない国家試験だ。
合格率は統計により異なるが、概ね50%以下と言われているので、二人に一人が合格するかしないかの計算だ。出題範囲は一種試験に加えて旅客輸送に関する問題が入る。出題数(問題数)は95問でこれは一種免許と同じである。合格基準が100点満点中90点以上なのも同じである。
出題の形式は令和5年の警察庁通達によると、「文章形式の問題(文章問題)を90問とし、イラストを使用し実際の交通場面から危険を認知して必要な判断を行う能力を判定する問題(イラスト問題)を5問とする」となっている。
文章問題が1問1点、イラスト問題が1問2点の配点である。よって90点以上を取るにはイラスト問題の2点配点はミスができない恐怖なのだ。
さらに「イラスト問題については、三肢に対する解答がすべて正しい場合のみ配点するものとする」となっており、これは1つのイラストにつき3題が割り当てられており、文章問題と同様に正誤式で3題すべて正解してはじめてイラスト問題1問が正解となり、2点が配点されるという厳しいものだ。
よってイラスト問題は30秒では難しいので、文章問題を20秒以下でマークしてイラスト問題に割り当てないと時間切れの可能性がある。
■配分も決まっている
問題の配分も決まっており、二種免許は歩行者と運転者に共通の心得に13点、自動車や一般原動機付自転車を運転する前の心得に6点、自動車や一般原動機付自転車の運転の方法に30点、危険な場所などでの運転に9点、購読道路での走行に8点、旅客自動車や代行運転自動車の運転者などの心得に20点、交通事故・故障・災害などのときに3点、自動車所有者、使用者、安全運転管理者、自動車運転代行業者などの心得に1点、危険予測に関わるイラスト問題に10点が配分されている。
試験時間は50分なので、1問あたり平均して30秒程度で解凍してマークしなければならない。運転免許試験にはよく言われているひっかけ問題があるので、それ以外は30秒かからないにしてもなかなかハードな時間配分が要求される。
■実際の問題をどうぞ!
・空走距離とは、ブレーキが実際に効きはじめてから車が停止するまでの距離である。
・路線バスに乗務したとき、運行表を携帯していなかったが、毎日乗務する路線のため熟知しているので、そのまま乗務した。
・黄色の点滅信号は、安全のため、一時停止して進行したほうがよい。
・同一方向に進行しながら進路を右に変えるときの合図は、進路をかえようとする地点から30m手前の地点からしなければならない。
・たとえ危険を防止するためであっても停車禁止のところは、一時停止をすることはゆるされない。
・速度が2倍になると、まがり角で横すべりや転倒させようとする遠心力は2倍になる。
・横断歩道を横断しようとする歩行者がいたが、近づくと立ち止まったので、そのまま走行した。
・乗合バスの運転者は、停留所に乗客がいないときは、運行時間前でも発車してよい。
・かぜで体調が悪く乗務交代を申し出たが、交代要員がいなくて乗務するように依頼をうけたので引き受けた。
■意外な死角は学科試験?
ちなみに答えはすべて×である。全問正解できただろうか。一種試験の他にこのような問題が多数出題されるので、勉強は必要だということだ。
合格率が低く、技能は問題なく終えたが、学科でつまずく人も実際に多い。とかく技能試験に目が行きがちだが、二種免許は学科試験のハードルも高いことを知って試験に挑もう。
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