イギリスを代表するモーターサイクルブランドであるトライアンフは、古き良き伝統を大切にしながら新しい技術やデザインを巧みに取り込んで進化してきた。そんなトライアンフらしさの生きるモダンクラシックラインの中で、最もスポーティな「スピードツイン1200」が2025年モデルで大幅にアップデートされた。

  文/後藤秀之 Webikeプラス  

ボンネビルの走行性能を高めたスピードツイン

 トライアンフを代表する「ボンネビル」の名前がラインナップに復活したのは、2001年のことだった。空冷の790ccバーチカルツインエンジンを搭載して登場した新世代のボンネビルは、排気量の拡大などのマイナーチェンジを重ねながら20215年まで生産が続けられた。そして、その後を継ぐ2016年モデルとして登場した新型のボンネビルは、同じバーチカルツインエンジンながら水冷化された新世代のパワーユニットが搭載されていた。SOHCながら排気量も1200ccに拡大され、最高出力80PS(59kW)/6550rpm、最大トルク105N・m/3100rpmというスペックを発生した。

 この水冷ボンネビルのバリエーションモデルとして、2019年に登場したのがスピードツイン1200である。エンジンや車体は基本的にボンネビルのものを使用しつつ、17インチのキャストホイールやダブルディスクブレーキなどを備えたスポーティに仕立てられた。エンジンは排気量などに変更は無いが、最高出力97PS(72kW)/6750rpm、最大トルク112N・m/4950rpmにスープアップされていた。2021年モデルではユーロ5排出ガス規制に対応しつつ最高出力を100PS(74kW)/7250rpmへとパワーアップし、フロントに倒立フォークが与えられるなどさらにスポーツ性能を高める改良が加えられた。

 9月に2025年モデルとして発表されたスピードツイン1200には新しいデザインのボディパーツが与えられ、エンジンは105PS/7750rpmへとさらに高回転・高出力化。そして、オーリンズ製のリアショックユニットや、ブレンボ製のStylemaブレーキキャリパーを奢られた「RS」グレードが追加された。

 

 

 

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イメージを踏襲しつつ、ボディパーツのほとんどを変更

 スピードツインの新しいボディデザインの中で1番最初に目につくのは、これまでの丸みを帯びた形状に比べて直線基調のデザインとなったサイドカバーだろう。タンクの形状もイメージを保ちつつシャープな形状に変更されており、このタンクとサイドカバーに合わせてシートのデザインも変更されている。

 

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 前後のフェンダーやヘッドライトベゼルにアルミ素材を使うことで各部の質感をアップし、灯火類はlEDを使用してデザインにモダンさを加えている。ヘッドライトはボトムマウント化されたことで先代とフロントフェイスのイメージも大きく変わり、RSのシートはステッチのディテールが際立つスポーティでスタイリッシュな起毛仕上げになるなどデザイン部分での進化も見逃せない。

 

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パワーユニット、そして足周りの充実とRSの存在

 パワーユニットは先にも触れたように最高出力を105PS/7750rpmへと引き上げ、最大トルクは112N・mと変わりないが、発生回転数が4250rpmと下げられている。エンジンのスペックについてはスタンダードとRSで差は無いが、RSにはスタンダードの「ロード」と「レイン」のモードに加えて、スロットル応答をシャープにし、トラクションコントロール設定を最適化するスポーツライディングモードが追加されてパワフルでダイナミックな感覚がさらに高められている。また、アップ・ダウン共に機能するクイックシフターである「トライアンフ・シフトアシスト」も装備され、より高いレベルでのスポーツライディングが可能になっている。

 

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 足周りはスタンダードがマルゾッキ製の倒立フロントフォークとピギーバックタイプのリアショックユニットを採用し、ダイナミックかつバランスの良いハンドリングを産んでいる。RSにはフルアジャスタブルタイプのマルゾッキ製の倒立フロントフォークと、オーリンズ製のフルアジャスタブルタイプショックユニットが奢られる。

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 新しいデザインの鍛造ホイールのサイズは前後17インチで、タイヤはスタンダードがメッツラーのSportec M9RR、RSはRacetec M9RRを履く。ブレーキはコーナリングABS付きで、スタンダードはフロントにトライアンフブランドの4ポットキャリパーを装備するのに対して、RSはブレンボのStylema4ポットキャリパーを装着している。

 

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ユーティリティ面もさらに充実

 新型のスピードツイン1200とRSは、ポジションにおいても差がつけられている。スタンダードは先代モデルよりもハンドルの高さを上げつつ、前方に配置することでポジションの自由度をアップ。RSはハンドルは先代と同じ設定としつつも前方に配置し、ステップの位置を若干アップしつつさらに後方にセットすることで、よりスポーツライディング向けのものとしている。

 スピードメーターはLCDとTFTディスプレイを組み合わせたブランニューで、スマートフォンと接続することで電話機能やターンバイターンナビゲーションを使用することができる。また、メーターのサイドにはUSB-Cタイプの充電ソケットが備わっており、ユーティリティ面での充実も図られている。

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 新型スピードツイン/RSのデリバリー開始は2024年の12月とアナウンスされており、日本にもほぼタイムラグ無く入ってくると思われる。また、アクセサリー類も充実しており、ホームページでビルドシミュレーションが可能になっているので、自分だけの1台を作ってみてほしい。

 

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