日産の屋台骨を支えるコンパクトカー「ノート」。このクルマがデビューしたとき、よく似たコンパクトカーが存在したのをご存知だろうか? 名前はティーダ。プラットフォームもエンジンも同じで、ベストセラーにもなったのに、ノートは残り、ティーダは日本市場から消えてしまった。はたしてなんで?

文:ベストカーWeb/写真:日産、ベストカーWeb編集部

■よく似た2台。ティーダとノート

日産ティーダ。ノートとこんがらかるという人もいた

 ノートとティーダ。この2台は兄弟のように一緒の道を歩んできた。

 そもそも公開された日が同じ。2004年9月2日、経営不振から反転攻勢に出た当時の日産が、ムラーノの発表会の場で「他にもこんな新型車を出しますよ」と2台を公開したのだ(他にもフーガやラフェスタなどが同じ場で公開された)。

 実際の発売タイミングは、同年9月30日のティーダが先。ノートは開発が遅れ、翌2005年1月に日本発売された。

 プラットフォームは両車とも、ルノーと共同開発したBプラットフォーム。最大のライバルであるホンダ・フィットより150mm長い2600mmというホイールベースを持ち、広い後席とラゲッジルームをセールスポイントとした。全長は微妙に異なり、3995mmのノートに対しティーダは4205mmだ。

 エンジンだが、これまた双方とも日産ルノーの共同開発となるHR15DE型。109ps/15.1kgmと普通のスペックだが、CVTとのマッチングがよく実用性に優れていた。

記事リンク

前の記事

えええアウトランダーの心臓を[エクストレイル]に積むの!? 日産よ[e-POWER]のPHEVはどうすんの!?

次の記事

ランクル300/250の人気にストップをかけろ! 日産パトロール(サファリ)とムラーノの日本発売を熱望!

■2台合わせてフィットより売れた!

ティーダは小さな高級車をめざした

 さて、ここからはティーダとノートの違いだが、ティーダは従来のパルサーなどとは一線を画する「小さな高級車」的な位置付け。

 インテリアはティアナを手がけたスタッフが手がけ、クラスを超えた高い質感を売りにした。240mmもある後席スライドは、設定によってシーマよりも広いリアシートも作れたし、ウイングロードなみの荷室を作ることもできた。

 いっぽうのノートは、若い家族層をにらんだ若々しさがウリ。ラゲッジルームは2段マルチトランクも備え、自在な使い勝手もアピールした。

 この2台、セールス面はどうだったかというと、どちらもよく売れた。両者が出そろった2005年で比べてみると、ティーダが9万8069台で年間販売ランキング4位、ノートは9万3925台で同5位に付けている。ライバルのフィットは12万5894台を売ったが、2台合わせれば日産が勝っていたのだ。

記事リンク

前の記事

えええアウトランダーの心臓を[エクストレイル]に積むの!? 日産よ[e-POWER]のPHEVはどうすんの!?

次の記事

ランクル300/250の人気にストップをかけろ! 日産パトロール(サファリ)とムラーノの日本発売を熱望!

■リーマンショックが2台の運命を変えた?

不景気の波がティーダを襲った

 ではなぜティーダは消えてしまったのか。もちろん原因は一つではないだろうが、2008年に起きたリーマンショック以降、「小さな高級車」という価値観が打ち出しにくくなったことは確かだ。人々の意識から高級という目盛りが消え、より合理性や経済性を求めるようになったのだ。

 実際、2010年の両車の販売を比べてみると、ノートの6万6347台に対し、ティーダは4万6825台と数字を落としている。長いスパンでみると、5ドアハッチバックの持つ特性により忠実だったノートが、生き残ったといえるのかもしれない。

 とはいえ、ティーダの火は消えてはいない。今まさにティーダの立ち位置を受け継いでいるのが、ノート オーラだろう。オーラが持つワンランク上の走りや室内の質感を思うと、まさにティーダが目指したラグジュアリ―コンパクトの継承者だと感じるのだ。

 ちなみにティーダそのものは、国際戦略車として多くの国で今でも発売されている。とはいえそれらはパルサーの兄弟車的位置づけで、初代の持っていた小さな高級車という味わいはない。

 2012年、2代目ノートがデビューすると、初代ノートとティーダはそろってその役割を終えた。託された未来はそれぞれ変わってしまったけれど、最後まで兄弟のような、仲睦まじい2台であった。

記事リンク

前の記事

えええアウトランダーの心臓を[エクストレイル]に積むの!? 日産よ[e-POWER]のPHEVはどうすんの!?

次の記事

ランクル300/250の人気にストップをかけろ! 日産パトロール(サファリ)とムラーノの日本発売を熱望!

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。