1989年10月にデビューしたSW20型の2代目MR2の初期型はとにかく危ないクルマだった。アンダーステアセッティングでとにかく曲がらないクルマで、危ないクルマと言われた。SW20型MR2は本誌ベストカーでも何回か取り上げたことを思い出す。そこで当時の2代目MR2はなぜ危ないクルマと言われていたのか? そして今、復活するMR2の話も紹介していこう。

文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカー編集部、トヨタ

■懐かしいSW20型MR2の想い出

スピンしまくりで危ないクルマと言われたSW20型2代目MR2の初期型

 1989年10月に登場した2代目MR2と聞けば、当時の苦い思い出が蘇る。AW11型からの流れで、ショートホイールベースのミドシップレイアウト。基本はアンダーステアのセッティングでとにかく曲がらない。

 コーナーで、例えばステアリングを左に切っていくと、フロントに荷重がいくのだが、フロントを軸にして“スパン”と回っちゃう。サーキットで何回走ってもスピンしまくり……。この時、ミドシップのせいなのか、腕のせいなのか、プロのレーシングドライバーの間でも危ないクルマとして話が持ちきりだった、と記憶している。

 これはフロントタイヤのグリップ不足(接地不足)からくるもので、路面が濡れた状態で、アクセルを踏むとリアがいきなり滑っちゃうという冷汗出まくりだった……。ミドシップのスポーツカーなのにオプションでもLSDが装着されないというのも変な話だ。

ベストカー1989年11月26日号に掲載された2代目MR2

 しかし、トヨタは当然、これを放置しておかなかった。1991年12月のマイナーチェンジで、この点を中心に改良が行われたのだ。タイヤのサイズは、フロント195/60R14→205/55R15、リア205/60R14→225/55R15へと変更され、接地性が向上。

 そのほか、フロントサスペンションのセッティングが変更され、大型スタビライザーやストラットタワーバー、15mm延長されたリアサスペンションアームおよび取り付け位置の変更、再設計されたリアサスペンションメンバーなどを採用したことにより、唐突にスピンすることもなくなった。

 またブレーキローターの大型化、ブレーキブースター強化、冷却用ダクトの追加、シフトストロークのショート化、フロントリップスポイラーの大型化、アルミホイール及びステアリングのデザイン変更が行われた。

 さらにターボグレードのGT系にはビスカス式LSDの標準装備、ビルシュタイン製ショックアブソーバーや2速がトリプルコーンシンクロとなったMTが採用された。 この時、GTグレードより20kg軽い1270㎏のGT-Sが追加されたが、このGT-Sが販売の9割を占めるほどの人気となった。

 個人的には1993年11月に2度目のマイナーチェンジで、225psから245psになったターボのGT、強いていえば、スポーツABS付きが素晴らしくよかった。昔のように、コーナー途中でいきなりスピン連発ということもなく、よく曲がるようになったからだ。もちろん、ランエボのスーパーAYCやACDには到底かなうべくもないが……。

2代目MR2のコクピット

■なんと現代にMR2が復活する!

 閑話休題。86、スープラに続くトヨタスポーツ復活第3弾、なんと現代にあの、MR2が復活する情報があるのをご存知だろうか。もちろん、ボディ形状は歴代MR2と同じミドシップスポーツカーだ。搭載されるのは、GRヤリス&GRカローラの直3、1.6Lターボエンジンで、最高出力は320ps、最大トルクは42.0kgm以上!

 背の低いスポーツカータイプであることは決定済みとのことだが、デザイン案は2つあり、エンジンフードとトランクフードを別々に設定するダブルデッキ型。もうひとつはシングルデッキ型。このシングルデッキ型は流麗なクーペデザインに近い「クーペテイスト」といってもいい。

 ダブルデッキ型は初代AW10/11型、2代目SW20型のMR2でも採用されていた、いわば伝統の形状。MR2の復活をアピールするならこちらを選ぶのが王道といえるが、別の案もあるというのは、そこに縛られないということか。

「意外とAピラーが立ち気味のデザイン」という情報もあるMR2後継モデル。こちらはダブルデッキ型(ベストカー編集部が作成した予想CG)

 一方、シングルデッキのクーペテイスト型はリアにトランクスペースのないフェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーによく使われているタイプだが、現行コルベットなど、リアにトランクがあるクルマでも、ひとつのフードで両方を覆っているケースもある。両者の違いがわかりやすいのはNSXで、初代はダブルデッキ、2代目はシングルデッキとしていた。

こちらはシングルデッキのクーペテイストデザインの予想CG。低いフロントフードがミドシップであることを主張する(ベストカー編集部が作成した予想CG)

 リアセクション以外にもデザインの情報は入ってきている。情報提供者によると、フロントフードは低く、フェンダーの厚み(天地幅)も少ないが、Aピラーは意外と立ち気味。

 また、リアのエアダクトはリアフェンダーの上方に置かれていて、吸気効率を重視していることが窺えるとのこと。随所に丸味を活かした印象で、ボディサイズは意外とコンパクト(全長4400mm、全幅1850mm前後と予想)なのに、大きく見えるデザインになっているという。

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